Blau(ブラウ)
①(エレガンスイブに連載中)
(黒沢明世・秋田書店・690円)
映画「HACHI」(リチャード・ギアがハ~チ~ハ~チ~と言ってたのが特に印象的)のコミック版を手掛けた、黒沢明世の警察犬マンガです。
飼い主に先立たれて孤独になった碧い目の犬ブラウは警察犬訓練所に預けられたのですが、持ち前の気性の荒さから協調性に欠け、周りの犬や訓練士からも遠ざけられる存在になってしまいました。そんな時に、新人訓練士奥村未来がふとしたきっかけでブラウとペアを組むことになる。そんな未来も半分親から見捨てられて、訓練所に無理やり入れられた、「孤独」な人間だった。ブラウの他の犬とは違う素質を感じていた訓練所所長は、ブラウが「ビジネス」になると考え、未来と組ませ「警察犬訓練大会」に出場させる。
作者の犬への並々ならぬ思いと犬のちょっとした表情も描き分ける表現力は、犬マンガというジャンルを超えて、作品として熱く胸を打ちます。レディースコミックの連載なので、意地悪な先輩や目的のためなら手段を選ばないライバルなどの「レディコミキャラ」の登場もありますが、ブラウの純な碧目の前には霞んでしまいます。犬は笑うのか?と言われれば、笑わないという人が圧倒的でしょうが、私には作中のブラウが亡くなった主人や未来の前では笑っているように見えました。本当に笑っているのかもしれませんね。