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アメ村マンガ研究所

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ジョジョではない荒木作品(変人偏屈列伝)

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変人偏屈列伝

(荒木飛呂彦・鬼窪 浩久・集英社文庫・680円)


<あらすじ>
天才発明家、異能の大リーガー、稀代の興行師…数奇な運命を辿った愛すべき変人偏屈たちの力強い足跡を、荒木飛呂彦が尊敬の念をもって描く。実在の変人偏屈たちを漫画化 全原作 荒木飛呂彦!!
自分の信念を曲げないその生き様は、時に魅力的で、尊敬にすら値する! これは常識では考えられない行為を一生涯続けた変人偏屈たちの物語である──。(説明文より)

「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズの荒木飛呂彦と彼のアシスタントも努めたことのある、現在成人漫画家である鬼窪浩久の二人が描く、実在した「変人」を彼ら独自の画風、世界観で描く作品です。

とにかく実在したというのには全てのエピソードに驚かされます。人間に近いチンパンジー「オリバー君」を仕掛けた康義夫、メジャーリーグで一番嫌われて、恐れられた男「タイ・カップ」などなど、文章だけでもグングン引き込まれる話を2人の画風と構成力で、より「変人」であるということが強調されています。

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その中のエピソードの中でも最大の変人と言えるのが「ウィンチェスター・ミステリー・ハウス」を作りつづけた、ウィンチェスター夫人ではないでしょうか?

19世紀アメリカ、西部開拓や南北戦争で「ウィンチェスター銃」というのがアメリカを席巻します。その銃を作り、莫大な財産を握るウィンチェスター家に、のちのウィンチェスター夫人、サラは嫁ぎます。不幸にも子供が幼少の時になくなり、夫にも先立たれてしまう。この不幸を彼女は霊媒師に占ってもらうことにするのだが・・。霊媒師の告げたことは・・、銃によって命を失った「呪い」が彼女にとりついている。それから逃れるには、西に家を建て、生きている間「建て続けろ」。そして、これからは誰にも顔を合わせてはいけないと告げられる。そしてカリフォルニアの7000坪もの広大な敷地に、彼女が82歳で死ぬまで、

なんと39年間も家を建て続けた。

しかも、365日24時間も休まずにである。39年間もなので、建築自体は意味のない無計画なものだったらしく、160の部屋、2000枚のドア、10000以上の窓、47の暖炉、40の階段、40の寝室、しかし、鏡はたったの2枚。さらに、どこにも通じていない廊下、煙の出ない煙突、迷路のような階段、最後まで登りつめた最後の3階のドアは「外」などなど。地図や付き添いが無いと出て来られないというトンデモ屋敷であります。

この「ウィンチェスター・ミステリーハウス」は現在観光地になっていて、ガイド付きで見て回れるらしいです。また行ってみたいところが増えましたね。

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ジョジョ作品を読んだことがあるけど、これは知らないという方から、ジョジョ作品は読んだことがないけど、いつか読んでみたいと思っている方まで、大変お勧めの作品です。「変人」たちが「スタンド使い」では?と思ってしまうぐらいの荒木、鬼窪ワールドです。あなたの本棚に「異能」ではありますが、あることが何か「イケナイ良い」という不思議な感覚に囚われますよ。

今回、コミック文庫という普及版になったことは大変ありがたいのですが、私個人的にはハードカバー版のほうがおすすめです。

箱に入っているというのもありますが、この「質感」。持ち、ページを開き、飛び込んでくる世界は「ジョジョ」の世界では味わえないもう一つの荒木ワールドです。興味のある方はアセンスアメリカ村店まで。

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by manga_do | 2012-04-18 00:00 | マンガ紹介
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