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アメ村マンガ研究所

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日曜マンガ博物館(5)あぶさん

日曜マンガ博物館
第5回


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あぶさん

(ビッグコミックオリジナル連載中)
(水島新司・小学館・現在99巻刊行中・4/27に100巻発売)


「これで借金が返せる」

あぶさんの1巻目初めてのセリフです。

今年で連載開始から39年目。野球漫画の大金字塔、スポーツ漫画の不滅の名作、生ける伝説として多くの人がその名前を口にする。誰しも名前ぐらいは聞いたことがあっても、一体何物なの?というのが本音だと思います。

「ドカベン」「大甲子園」の作者として野球漫画の重鎮となった水島新司が、現代のプロ野球、しかも南海ホークス(現在はソフトバンクホークス)というパ・リーグのチームに光を当て、スーパーヒーローとしてでしか無かった野球漫画の主人公を「一野球人」として描いて、酒をこよなく愛する無口なバットマンという新たな野球漫画を切り拓いた記念樹的な漫画です。

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ここであらすじを少し。
あぶさん、本名景浦安武(かげうらやすたけ)1946年12月17日新潟県生まれ。夏の甲子園の新潟県大会決勝で推定飛距離155mの特大ホームランを打ったのだが、ホームに戻ってくるときに前日の飲酒(!)がたたりヘルメットにおゲロしてしまい、それがバレて甲子園行きの切符を失ってしまう。その後実業団チーム(北大阪電機やったかな?)に入るが、「酒」絡みでクビ寸前。そこを南海のスカウトマン岩田鉄五郎(水島作品にはほとんど登場するキャラ、水島新司の化身とも言われている)に南海ホークスに「契約金50万円年俸100万円」でスカウトされる。前述の「これで借金が返せる」はこのとき入り浸っていた「大虎」の飲み台のツケが返せるという意味ではいたセリフです。当時南海は野村克也監督兼任時代。そこで「代打屋」として一球、一打に賭ける男の世界を渡っていきます。その後、レギュラーに定着し、3冠王も経験する。チームは身売りされ、「ダイエーホークス」になり、そこで優勝も日本一も経験する。さらにソフトバンクホークスとなり、62歳まで38年間の現役生活を終える。後半駆け足すぎましたが、じっくり書いたら膨大になりすぎて怖くなるので・・。

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このあぶさんの革新的なところは3つあります。

①主人公が実際の時代の流れと共に年齢を経るというところ。
 連載開始が1973年。そのころあぶさんは26歳。そこからリアルタイムに年齢を重ね37年間現役で居続け ました。漫画の世界とはいえ、驚異的なことですね。
②プロ野球の実在の選手が登場する。
 野村監督をはじめ、数多くの選手が登場します。が、最近は肖像権の関係上、誰でも彼でもというのは減っ ています。現役選手とあぶさんとの絡みは、漫画とはいえドキドキします。
③現在も続いていること。
 リアルタイムで尚且つ62歳まで現役を続け、今また息子・景虎がプロ野球の門を叩き、投手として活躍する 中、あぶさんはホークスの2軍助監督に就任し、後身の指導にあたっている。そう、この漫画には終りがない のです。

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あぶさんは4/27に100巻目が発売されます。丁度区切りのいい巻数。これで終わりなのかも・・。いやいや、ここからこそが始まりなのかも。
by manga_do | 2012-04-15 00:00 | 日曜マンガ博物館
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