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アメ村マンガ研究所

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明けましておめでとうございます!

謹賀新年


2012年 新年明けましておめでとうございます。

旧年中は格別のご厚情を賜り、誠にありがとうございました。
本年も勉めて皆様に1冊でも多くの「オモシロイ!」マンガやアセンスアメリカ村店の情報、本が皆さまの毎日を少しでも彩れるような、お話と場をご提供できるよう努めてまいります。
今年もなにとぞ宜しくお引き立ての程お願い申し上げます。

    アセンス アメリカ村店 アメ村マンガ研究所



で、今年一発目はこの本です。




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夜明けの図書館

(埜納タオ・双葉社・650円)


<あらすじ>
市立図書館で働く新米司書・ひなこ。日々、利用者からはいろんな質問が…。「ある写真を探している」「光る影の正体が知りたい」など、難問ばかり。こうした疑問に対し、適切な資料を紹介するのも図書館の仕事。ひなこ、迷宮入りしそうな利用者の「?」に立ち向かいます! 史上初!? 新感覚・ライブラリーコミック!(説明文より)

図書館利用者の調べ物のお手伝いをする「レファレンス・サービス」。利用者の「知りたい」に答えたり、探したりと図書館の花形とも言うべきポジションです。以前からこう言う調べ物には対処して頂いたのでしょうが、昨今の情報のオンライン化がそういう情報の出し入れを加速させたともいえるのではないでしょうか。そして、逆の意味でも、ネット社会になったからこその弊害、ネットで調べられない「消えた情報」、ネットの隙間に隠れてしまった情報など、今後こういうポジションの重要性がますます増すことになると思います。

主人公・ひなこは新米ながら、文字通り「ぶつかっていく」。このマンガの好感はその一語に尽きます。人と人との繋がり、優しさ、強さはそういう所からしか生まれないという風に本当に感じさせられます。


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本屋の仕事も、この「レファレンス・サービス」の連続です。最初の1語だけ憶えていたりしたものを何とか見つけたときのうれしさ、「~ぽい本を探している」などの提案型の探し物を要望に近いものを見つけていく楽しさ。全ては本と人とをつなぎたいという一心からです。この作品のような劇的な事はあまりありませんが・・。

そういった意味では本は不思議な力を持っていますし、何年勤めていてもその魔力にも似たものを測りかねたり、魅力に取りつかれたりしています。「読みたい」「知りたい」が色々なジャンルや色々な読者に、今日も明日も今も昔も届けられているという事が本当にすごいことだと思います。

本を取り巻く状況は、出版、書店を中心に考えれば大変な状況になっています。ネットで全て事足りる、紙の文化はなくなるという人がいます。そういう側面は今後顕著になるかもしれません。しかし、そんな人でも、自分の大事な岐路に「占いの本」を読んだり、人に何かを贈りたいときに「本」を思い浮かべてみたり、自分の子供に「本」を読むことを勧めてみたり。みんなの「読みたい」「知りたい」があれば、本は不変たりえると思います。

図書館で勤めるひなこは、その喜びも、難しさも、大事さも全身で語っているのが本当に印象的です。同じ登場人物で大野さんという27歳の男性が出てきます。彼の語る現実的な図書館、今の本という部分は、ひなこの対極にあるように見えて、それも踏まえての図書館という、言いかえれば懐の深さを図書館に感じます。でも、そんな大野さんが一番熱い人間だったなんて・・。

このマンガ、残念ながら1巻で終わりです。しかも、4話しか入っていません。でも、1話が40ページを超える長編で、1話というくくりではこれほど長い、読みごたえのある作品はあまりないのでしょうか。とかく、こういう作品は感動を無理やりさせる節があるので、構えてみていたのですが、話の終わりにオチが複数存在するような、色々な感動が用意されているので、2回以上読んでも捉え方、見方の拡がりを感じさせてくれます。

「あなたの心に何が残りましたか?」

本を読んだ後についつい考えてしまう事です。「う~ん、何も」

それでいいと思います。知らず知らずのうちに何かが残って、面白かったことがいつまでも残る。それが本の良さであり、また読んでしまう呪文なのだと思います。1冊読んで、読み終わったときにその本が「次の本を読め!」って呪文をかけているんだと思います。だから、また本が読みたくなってしまう。そんな不思議な力が込められているんですね、本には。

このマンガはそんなことが練り込まれている本です。





今年もこの調子で、色々な本を紹介というか、良さを再認識していける毎日にしたいと思っています。どうぞ、今年もお付き合いのほどよろしくお願いします。
by manga_do | 2012-01-01 00:00 | アセンスアメリカ村店
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