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アメ村マンガ研究所

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私にも一言いわせろ!マンガ

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永田町ワールドフェイマス
①(コーラス連載中・以下続刊)
(画・北沢バンビ、作・スパイスランド・集英社・440円)


<あらすじ>
いわゆる「派遣切り」にあった佐藤春香(25)は、ある事情でどうしてもお金が必要だった。高額ということで飛び込んだのが、選挙カーのうぐいす嬢。目が回る慌しい戦場で、候補者北条泰子(75)の「誰もが平等で」「誰もが幸せに子供を産める世界」を作りたいという熱い思いに心を揺らされる。調子がすぐれない北条に代わって演説をぶつこともあった。そんな春香をみて、比例候補の名簿のあと1人を誰にするかで迷っていた、幹事長田沼次利(71)は適当に春香を名簿に載せてしまう。選挙当日、当選者の中に北条の名前はあっても、春香の名前はない。が、しかし、調子を崩していた北条が急死してしまう。春香はテレビのニュース速報で北条「急死」の文字と自分が「繰り上げ当選」した文字を同時に知らされる。

以前読んだ「シークレット」(祥伝社)というマンガに衝撃と作者に会ってみたい感を覚えた、北沢バンビの最新作です。「シークレット」の話はこのブログでいつかしてみたいと思っていたのですが、乗りこなせずに不発に終わった思い出がある作家です。

「政治」「25歳の女性」「政治家の唱える理想と現実のギャップ」、2010年代のいい意味でのマッチしたテーマであり、ドラマ的でもあり、マンガだからこそいえる主張が主人公春香を通して、うまく引き出されています。個人個人が自分の生活、子供の未来、家族の幸せに政治に対しての期待を主張することは中々できません。確かに、政治に全国民が参加して、その義務を負うというのがこの国の拠って立つことであることは大前提ですが、その「声」があまりにも歪められたり、無視されているのも現実です。それを押しのけてでも強く生きることが人間の楽しみであり、人間の取り柄でもあるというのも一方ではあります。現実世界で成しえないことを仮想世界であるマンガの世界でやってみようという単純な描き方ではなく、自分の生活、子供の未来、家族の幸せといった「今そこにある問題」を主人公春香を通して描いているのだと思います。

人間は賢い人がいっぱいいても、100点の解決はできないと思います。ですが、自分が笑っていたり、楽しかったり、愛する人たちが幸せである世界を些細であっても作ることはできると思います。「政治」マンガが政治を茶化す作風である限り、そんな生活ができるのか少し心配になります。この「永田町ワールドフェイマス」は「変化」よりも「みんな」を描いている、そんな風のにおいがします。

こちらは例の「シークレット」です。
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by manga_do | 2011-02-20 09:11 | マンガ紹介
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