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アメ村マンガ研究所

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旗の威力

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兵馬の旗

(ビッグコミック連載中)
(かわぐちかいじ・小学館・550円)


<あらすじ>
何が正義で、何が悪かが混沌としている時代、幕末。何が正義なのかではなく、何を自分が信じるのか、何を自分は守っていくのかを試されている時代に、友人である2人の男がその波にのまれ、立ち向かっていくお話です。宇津木兵馬は幕府の留学生としてロシアに行き、ロシア人の妻を娶り、子供も授かる。「世界」に出て、家族を持った事により、「江戸時代」で起こっている討幕運動、権力争いに、この先の日本の将来を憂いながらも、自分が日本人であるため、人間であるために、幕府側に身を置きながらも、来るべき新しい日本に思いをはせている。一方、薩摩軍人村田新八郎は欧州留学中に出会った宇津木と戦場で敵味方になり相まみえる。開国、外圧、争い、統一といった流れの中で、心通じ合わせた者同士が刃を交える。

かわぐちかいじの漫画にはよくライバルというものが出てくる。2人に陰と陽、正と負、悪と善、半と丁を背負わせ、物語を進めていく。確かに言える事は、相対的にどちらも悪くなく、その状況や時代がそうさせているといった話の進め方で、その両者が自分を見つけたり、思い悩む様がかぐちかいじの漫画では、大きな共感を得る。太平洋戦争、戦後、高度成長期、現代、それぞれの熱き「時代」を切り取って来たかわぐちかいじの次なる挑む先は「幕末」。主義、主張関係なく、本当に未来の日本を体を張って考え抜いた時代。この時代に白羽の矢が立ったのは当然とも言えます。

今回の1巻に、「旗」が出てきます。日本人同士が争い、殺し合う時に、お互いがその正当性としての大義名分を誇示するもの、それは自分たちが正しいという「旗」です。たかだか旗ですが、人々はその大義名分を信じ、自分や家族、里を守るために、その旗に殉じていきます。その旗の重みは、掲げている人たちよりも、見せつけられる人たちの方が重く、大きく感じます。私はその姑息さや単純さに嫌な気持ちになるときがありますが、このマンガではその両方、その付きまとう意味までも教えてくれています。

長く、そして大河なマンガになると思いますが、歴史の真実、誇張、嘘関係なく、150年前に実際日本で起きていた「日本人である前に、1人の普通の人間たち」が多大の犠牲を払いながら、次の時代、明治という安寧の時代を夢見た人々の物語であるという事が語られています。
by manga_do | 2011-07-31 19:11 | 1巻目にしてオモシロイ | Comments(0)

装丁好き集まれ~

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漫画・アニメ・ライトノベルのデザイン
(「アイデア」特別編集・誠文堂新光社・2,940円)


何年か前に雑誌の「アイデア」が2号にわたって特集していた「マンガのデザイン、装丁」を再編集としてまとめた本です。その時の「アイデア」は売れに売れて、注文しても在庫がなく、重版の予定もないという状態でした。マンガの装丁だけ集めた本が見てみたいよ~と思っていた私には大朗報でした。

漫画が文芸書などのハードカバーや芸術書のように、凝った装丁、色鮮やかなデザインの表紙になって、かれこれ20年になります。その先駆けだったのが吉田戦車の「伝染るんです」。わざと乱丁風にページをつくったり、紙の素材を変えてみたりと、「本は決まりきったしっかりしているもの」という概念をふき飛ばした作品でした。現在はおとなしいコミック文庫版のみしか出ていませんが、当時は重版するのが難しいぐらいの凝りようだったらしいです。その辺のいきさつもインタビューで語られています。

こんなに多くのデザイナーが、マンガの装丁やデザインに関わっていたのかという驚きとこの作品とあの作品はあのデザイナーが手掛けていたのか~など、デザイナー視点で見る漫画や本の見方もできます。意外とびっくりしたのが、ある漫画家の作品は一人のデザイナーがずっと手掛けているといったことなどです。全然お話の雰囲気が違うのに、その違いを一人のデザイナーさんが表現する、これは本当に見ていて楽しい本です。

昨今の文芸書、文庫本も作家、内容だけでなく、装丁のデザインや表紙の世界観が読み手の受け取り方を変えてしまうという効果が大いにあります。そういった意味でも、装丁やデザインの魔力はこれからも目立ちながら目立たず、読者を引き込ませていくのでしょうね。

書店の本棚で、装丁やデザインした人ごとで分かれた書棚があってもいいかもしれませんね。「あ、この人のデザイン好き~」とかで。ダメかな?


祖父江作品
↓↓
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by manga_do | 2011-07-29 11:16 | マンガの潮流 | Comments(0)

あれ、ウダヒマ?

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報道ギャング ABSURD!(アブサード)

(米原秀幸・秋田書店・580円)


<あらすじ>
あの「ウダウダやっているヒマはねえ!」の登場人物、蘭岳四郎とJソンこと松郷勇がコンビを組んで、テレビや新聞に報道されることのない、アンダーグラウンドなネタを求めて報道ビデオジャーナリストをするというお話。しかも、「ウダヒマ」から10~15年後のお話で、Jソンは結婚して、子供が2人いる状態です。さらにJソンは現在失業中。四郎に奴隷のように使われる毎日。そんな彼らが狙うは、闇の中でうごめく真実をさらけ出せない悪の真実。それらを世に暴くことで、高い報酬を得る。彼らの今回の獲物はなんですかい?

「ウダウダやっているヒマはねえ」の読者にはかなりなじみのある二人が主人公とあって、テンションが高くなっているのは私だけではないはずです。学園モノから報道ジャーナリスト、華麗なる転身ですが、前作を全く知らなくても十分楽しめるあたりは、設定のしやすさかなにかでしょうか。タイムシフトも実際の前作の終わった1996年から15年後という設定にしているあたりは、今後も「ウダヒマ」の登場人物が出てくる可能性もありますね。ただ単なる続編でなく、内容も変えて、熱気だけは一緒という一番いい続編ではないでしょうか。

新聞テレビが追えないネタや世に出せないネタなどを追いかけるこういう職業の方は実際存在します。マンガならではのネタから、一人の社会人として、家庭人としての葛藤がJソンから出ているのは、以前の学園モノとは違う15年後の「新しさ」があると思います。


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by manga_do | 2011-07-28 13:10 | 1巻目にしてオモシロイ | Comments(0)

人か魔か

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鞍馬天狗

(大佛次郎・外薗昌也・リイド社・580円)


<あらすじ>
時は幕末、武士と武士、信念と信念、生きざまと生きざまが切り合う時代。何が悪で善かを見失いかけている時代。そんな時に世にはびこる悪を、一人で誅しようとした男がいた。名前は「鞍馬天狗」。天狗自身も、自分では抑えきれなくなるぐらいの「恨み」でこの世を生きているようなものだった。敵であり、今生きている理由、新選組を殲滅するという誓いのみで生きているようなものだった。

大佛次郎の原作を、前作「ryoma」で鮮烈な幕末を描いた外薗正也が世界観を広げていく。何のために生きて、何のために殺していくのか、信念や恨みだけでは生きてはいけない。命の奪い合いの中に天狗が見つけた「光」とは。
by manga_do | 2011-07-27 14:00 | 1巻目にしてオモシロイ | Comments(0)

サラリーマンとは何ぞや?

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(新)C級さらりーまん講座



バブル崩壊もリーマンショックも乗り切ってきた、全てのサラリーマンに贈る、サラリーマンを10倍楽しめる漫画です。20年間変わらぬダメっぷり、哀愁っぷりは健在です。手塚治虫文化賞の短編賞を受賞したのは、何のきまぐれか。全国のサラリーマンよ、手塚は認めたぞ!!

いつものメンバー、虚弱秋田君、不明すぎる二階堂係長など、いつもの変わらぬ「C級~」です。
by manga_do | 2011-07-26 12:21 | マンガの潮流 | Comments(0)

斜めに見る

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へうげもの
13巻
(週刊モーニング連載中)
(山田芳裕・講談社・570円)


アニメ化され、巻数も13巻と益々驀進中のセンゴク物欲「乙」マンガ。太閤豊臣秀吉が逝去し、「秀吉後」の主導権争いに今まさに日本が二つに割れそうになるところのお話です。古田織部も自ら確立しつつある、「甲」なものを求める生き方より、自分の世界が作れる「乙」な世界に埋没しようとして、作庭や今までの形にとらわれない器づくりをもっと追い求めるようになります。

そんなときにおこった、日本を二分する秀吉亡き後の徳川vs反徳川の権力争い。歴史でも有名な「天下分け目の関ヶ原の戦い」の2年前からは数か月前の部分が描かれています。「武」をもって自分たちの領地を広げ、功名を上げようとする者にとって、この争いはチャンスであり、ピンチです。しかし、数寄を是として、己の美的感覚と「趣味」をもって、この世の中に安寧と「楽」をもたらそうと思っているもにとっては、この争いは自分たちの価値を無に帰させてしまう一大事です。

古田織部はそんなときこそ数寄ものは、こんな争いを「斜めに見ることができる」と言い放ちました。どちらについても大差ないわけですし、じぶんたちこそ今をそれぞれの感覚で乗り切ったり、楽しむことができるという考えです。

暴力と搾取を主としている戦国時代にあって、このような感覚こそ今の時代にもあっているのではないかと思います。ともすれば、ギャグ漫画の体裁をなしているのでは?と思える、この作品。全体の流れでは、そのような部分よりも、人が持っている清と濁、苦と楽、生と死がこんなにも溢れている漫画は近年ないのではないかと思います。アニメもやっていますが、本来伝わるべき、いやマンガでもまだまだ伝わり切っていない、作者が言いたいこのお話の「擬音」みたいなところは、コミックの方がまだ伝わっているのではないかと思います。

それと関ヶ原の戦いですが、今までも歴史の本、ドラマなどで散々やっていますが、原因と結果という側面から、原因をこれほど多角的に新章的に描かれているものもないと思います。ひとはとかく結果だけを見たくなりがちですがね。そういう読み方でも今回の13巻は楽しいですね。
by manga_do | 2011-07-24 10:11 | マンガ紹介 | Comments(0)

ヅカファン必見?

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ZUCCA×ZUCA(ヅッカヅカ)

(はるな檸檬・講談社・980円)


宝塚ファンの生態をギャグマンガ調に乗せた作品。はっきりいって、内容がかなりマニアックです。○○の退団公演でファンがいつまでも泣く、宝塚ファンが自作するファングッズ、宝塚ファンのファッション、お化粧などなど。ファン以外は「ああ、そうなんですか」と感心するばかりではありますが、そこは一部デフォルメしている「あるあるネタ」で「おもしろい」と思わせる部分が多く感じられます。

読み進むにつれて、これって本当なの?こんなに大げさな感じなの?ファンの方々は怒るのでは?など疑問が尽きませんが、なにかこのマンガの色調にそれを中和して、「本当の宝塚ファン」も「これから宝塚ファンになりそうな人」両方を楽しませてくれています。

      こんなタッチ
      ↓↓
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こういうマンガに出会ったときに、人に言いたい、面白いと声高らかに言いたいと思える瞬間が一番の幸せです。内外の評価は別として、今日は良い日になりましたね。
by manga_do | 2011-07-23 09:17 | 1巻目にしてオモシロイ | Comments(0)

お誕生日おめでとう

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真夜中
#14
(リトルモア・1,260円)


季刊誌の「真夜中」が発売されました。今回の特集は、ノンフィクション。エベレスト、東北、NASAと今を切り取った、ここにいられなくなるぐらいのその場にいる感じがあります。

その中で一際異彩を放っているのが、高野文子の4ページの漫画。タイトルは「「Tさん(東京在住)は、この夏、盆踊りが、おどりたい。」

う~ん、明らかに高野文子が盆踊りを踊りたいという内容です。しかも、振り付で。盆踊りの振りを多角的に説明、俯瞰的に投影したマンガがあったでしょうか。いつもながら、4ページとはいえ濃密なコマコマです。

しかも、これをノンフィクションと呼ぶ。

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by manga_do | 2011-07-22 13:25 | マンガ紹介 | Comments(0)

視えるんです、ボク

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ヴィジョンノア

(ヤングチャンピオン連載中)
(米原秀幸・秋田書店・560円)


<あらすじ>
数々の難事件を扱ってきた刑事張沼は、ある女性惨殺事件の現場の野次馬の中に、トランス状態で現場を見つめる中学生島田乃亜を見つける。後日、同じ現場でトランス状態で彼が描いている絵は惨殺された女性の断末魔の叫びだった・・・。そう彼には現場に残留する「死者の感情(おもい)」が視える。
by manga_do | 2011-07-20 14:06 | 1巻目にしてオモシロイ | Comments(0)

野球体幹

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グランドスラム

(週刊ヤングジャンプ連載中)
(河野慶・集英社・540円)


<あらすじ>
野球を全くやったことのない新入生・世界一心(せかいいっしん、何て名前だ!)は小さい時から祖父が教える拳法道場に通っていたが、野球で皆が試合中に輪になって相談する姿にあこがれて野球部に入ることを決める。祖父に教わった拳法の極意をいかし、弱虫素人一心の甲子園への旅が始まる。

ダメっ子、初心者が野球を始めて、甲子園を目指す。今までもありそうなシチュエーションで、またまたの野球漫画と思うなかれ。拳法の要素を取り入れ、体の未知なるものを引出し、ボールを投げる、バットを振る。う~ん、そうきましたか。と今後も見てみたくなるマンガです。もちろん野球なので、他の登場人物、他校のエース、先輩などもっともっと広がりそうなシチュエーションです。

もう野球漫画はお腹一杯と思っていただけに、またこういうマンガが出てくるところ、野球、学校、青春の奥深さだと感じます。毎日が楽しい、熱中できる、上達する。うん、青春です。
by manga_do | 2011-07-19 13:23 | 1巻目にしてオモシロイ | Comments(0)