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アメ村マンガ研究所

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ズボラのほうがウマイって言ってしまう

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花のスボラ飯
(久住昌之作、水沢悦子画・秋田書店・945円)


<あらすじ>
本屋で働くハナコは家がいつも散らかっていて、なおかつズボラ。さらに夫が単身赴任でハナコ一人で家にいるとあっては、ズボラも加速度的に進む。そんなハナコの一人が故のズボラ飯の毎日を覗く。

ズボラも徹底すれば本当に誰もが共感するおいしい「ごはん」に変わります。誰しも(人によってはしょっちゅう)一度はした事のある「ズボラ飯」。主人公ハナコのズボラでありながら、「うんまい!!」へのこだわりは、漫画を読んでいて「食べてみたい」とか「おいしそう」を超えた、「私も今日、ズボラ飯し~よう」という啓発運動につながる。

明日にでも、いや今日にでも使える「ズボラレシピ」満載の本作。ポトフを作っている途中に、マギーブイヨンを入れ忘れる致命的(う~んこれも奇跡)ミスを挽回するために思いつきで入れたケチャップ・・・・。
「うんま~」
こういう奇跡によるとこや偶然の組み合わせも「ズボラ」の醍醐味かも。

皆さんも自分オリジナルの「ズボラ飯」があるはずです。私も「サッポロ一番塩ラーメン」には門外不出のズボラでありながら、「ウンマイ」作り方があるのですが・・。このズボラ飯にも「サッポロ一番塩ラーメン」が出てきました。このラーメンってオリジナル作り方だったり、ズボラをするにはもってこいの素材なのでしょうか?よく出てきますね。スープにカレー粉が入っているのでは?という記述があったのですが、同感です。あのそこそこのしつこさを持ちながらのあっさり感は何かありますよね。

原作は「孤独のグルメ」の久住昌之。先日当ブログにも掲載した「食の軍師」の方でもあります。「孤独のグルメ」と「ズボラ飯」。一見対極にある両者ですが、美味しい、うんま~を感じる喜びは共通しています。今年の「マンガ大賞」のノミネート作品ですが、是非とも受賞して欲しいですね。それぐらいの「家でじっくり読みたい」感はありますよ。
by manga_do | 2011-02-28 13:24 | マンガ紹介 | Comments(0)

「アリス」が記号化している

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地獄のアリス
①(スーパージャンプ連載中・以下続刊)
(松本次郎・集英社・590円)


<あらすじ>
秩序も安息もない、荒廃した近未来(?)。ライフルとメイドタイプのセルロイド(人造人間)アリスと共に荒野を生きるシュウは、アリスを囮にして天才的なライフルの腕前を駆使し、強盗団から食料などを奪っていく生活を送る。そんなある日、人々が共同生活する集合体「コミューン」のマキルダを強盗団から救う。シュウのスナイパーとしての素質とその強そうに見えて危うい性格を見抜いて、一緒にコミューンに来ることを提案する。

「フリ-ジア」の松本次郎が、ストレートに混沌を描いています。近未来、無秩序、砂漠とくれば、暴力とセックスが支配する文字通りの混沌(カオス)なマンガになりますわな。難解とよくこの松本次郎は言われますが、銃器のディティール、女の子の描き方、どれをとっても主題が常に読者の前に出ているので、難解どころか明解そのものだと言えます。前作の「べっちんとまんだら」でもこの主題を明確に表現しているので、松本次郎自身の難解と言われることに対しての回答ではないかと思われます。

連載雑誌が「スーパージャンプ」ということもよいフィールドだと思います。作家がマンガを選ぶ。マンガが作家を選ぶ。このどちらかだったこの業界。マンガと作家がお互い「すり寄る」。それぞれの世界観を適正なものに仕上げていく。マンガ雑誌の押し付けでもなく、作家の独り善がりでもない、本当のプロ作品を見る想いです。実写化になって欲しくはないですが、アニメにはなって欲しいです。硝煙とカワイコちゃん。メディア化にギリギリアウトな作品でしょうが見てみたいです。
by manga_do | 2011-02-21 10:00 | マンガ紹介 | Comments(0)

私にも一言いわせろ!マンガ

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永田町ワールドフェイマス
①(コーラス連載中・以下続刊)
(画・北沢バンビ、作・スパイスランド・集英社・440円)


<あらすじ>
いわゆる「派遣切り」にあった佐藤春香(25)は、ある事情でどうしてもお金が必要だった。高額ということで飛び込んだのが、選挙カーのうぐいす嬢。目が回る慌しい戦場で、候補者北条泰子(75)の「誰もが平等で」「誰もが幸せに子供を産める世界」を作りたいという熱い思いに心を揺らされる。調子がすぐれない北条に代わって演説をぶつこともあった。そんな春香をみて、比例候補の名簿のあと1人を誰にするかで迷っていた、幹事長田沼次利(71)は適当に春香を名簿に載せてしまう。選挙当日、当選者の中に北条の名前はあっても、春香の名前はない。が、しかし、調子を崩していた北条が急死してしまう。春香はテレビのニュース速報で北条「急死」の文字と自分が「繰り上げ当選」した文字を同時に知らされる。

以前読んだ「シークレット」(祥伝社)というマンガに衝撃と作者に会ってみたい感を覚えた、北沢バンビの最新作です。「シークレット」の話はこのブログでいつかしてみたいと思っていたのですが、乗りこなせずに不発に終わった思い出がある作家です。

「政治」「25歳の女性」「政治家の唱える理想と現実のギャップ」、2010年代のいい意味でのマッチしたテーマであり、ドラマ的でもあり、マンガだからこそいえる主張が主人公春香を通して、うまく引き出されています。個人個人が自分の生活、子供の未来、家族の幸せに政治に対しての期待を主張することは中々できません。確かに、政治に全国民が参加して、その義務を負うというのがこの国の拠って立つことであることは大前提ですが、その「声」があまりにも歪められたり、無視されているのも現実です。それを押しのけてでも強く生きることが人間の楽しみであり、人間の取り柄でもあるというのも一方ではあります。現実世界で成しえないことを仮想世界であるマンガの世界でやってみようという単純な描き方ではなく、自分の生活、子供の未来、家族の幸せといった「今そこにある問題」を主人公春香を通して描いているのだと思います。

人間は賢い人がいっぱいいても、100点の解決はできないと思います。ですが、自分が笑っていたり、楽しかったり、愛する人たちが幸せである世界を些細であっても作ることはできると思います。「政治」マンガが政治を茶化す作風である限り、そんな生活ができるのか少し心配になります。この「永田町ワールドフェイマス」は「変化」よりも「みんな」を描いている、そんな風のにおいがします。

こちらは例の「シークレット」です。
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by manga_do | 2011-02-20 09:11 | マンガ紹介 | Comments(0)

春の食欲

c0203277_18415445.jpg食の軍師
(泉昌之・日本文芸社・620円)


また変なマンガに出会ってしまった。

「かっこいいスキヤキ」「ダンドリくん」の泉昌之(画・和泉晴紀、作・久住昌之のペンネーム)が送る古今東西の男の好きな食べ物を、どうやったら格好よく食べることができるか、格好よく注文できるかを真面目(読者にはおふざけにしか見えないだろうが・・)に追求した渾身のグルメマンガ。

演目はおでん、もつ焼き、寿司、蕎麦、とんかつ、バイキング、餃子、焼肉、弁当、しょうゆ、卵かけご飯となっております。これらの文字の踊り食いを見て、お腹が「ギュルッポン」と鳴った方は、もうこのワールドの新米兵士です。この世界をどう堪能するか、このマンガを読む前に舌なめずりすることでしょう。

が、しかし、これではただのグルメマンガ、おいしそうマンガに堕落してしまう!!このマンガはそれらとは明らかに違う、
否!!!である。
おでんの「こんにゃく」「だいこん」「ゴボウ巻き」がそれらの形の組み合わせで、「陣形」に見える人がいるだろうか?しかも、「白三形の陣」とご丁寧な名前までついていて・・。「牛スジ」「シラタキ」「バクダン(玉子が入ったさつま揚げ)」、この3品を頼んだら「伝説の陣形!」と見える人がいるだろうか?このマンガはそういうマンガである。

さらに「三国志」の諸葛孔明風の軍師が、その食べ物の組み合わせ、配置に一喜一憂する姿は他のグルメマンガを凌駕してしまった「落ち着き」が感じられる。食べ方や頼み方は千差万別、それぞれにドラマがあり、宇宙がある。このマンガはそれらを一旦横に置きながら、突き抜ける「ギュルッポン」が存在する。タン塩と卵かけご飯が食べたくなりました、このマンガを読んで。
by manga_do | 2011-02-19 19:16 | マンガ紹介 | Comments(0)

マンガになる慶び

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JUMP SQ. Comic Selection vol.3
(ジャンプSQ新人漫画賞受賞5作品・集英社・420円)


野球もそうなのですが、FAで入団したスター選手ばかりのチームよりも、若手を育成して主力選手に育てるチームの方が強いわけで。中長期的なヴィジョンで見れば、「育成」ということが一番の近道だったりします。漫画の世界もそういうことがあって、大物を連れてきた連載誌は一時の華やかさはありますが、長続きしないばかりか、むしろ前より人気を落とすといった危険性もはらんでいます。

各誌「登竜門」は設けていますが、それが効果を挙げているとはすべて言い難いのが現状です。ナゼなのか?一言でいうと真剣さではないかと思うのです。真剣に良い漫画を見つけようとしているのか、真剣に売り出そうとしているのか、真剣に良い作品を産み出すバックアップをしているか、等々。各出版社、各誌がどれだけよい漫画を産み出すのに本気か、それが先を見据えて良い、本当にオモシロイ漫画を産み出しているのだと思います。

ジャンプSQは創刊されて2,3年の若い雑誌です。しかし、前身は「月刊少年ジャンプ」で、それに「週刊少年ジャンプ」の姉妹紙としての位置づけ、「週刊少年ジャンプ」で描ききれなかったもののフィールドの補完としての意味合いが強い。こういう雑誌は大体有名作家の移籍、新連載で読者の幅を広げていくものだが、創刊当時そういうものが感じられなかったのが少し心配だったが、コミックスが一斉に発売されたときにその心配が杞憂だということを思い知らされた。そう、コミックがバカ売れしたのだ。読み手は知っていたのです、有名作家だけでなくてもオモシロイ漫画が存在することを。漫画雑誌が売れなくなってきていた当時、漫画雑誌自体の需要という問題ではなく、面白いものはオモシロイ。という単純な答えが出て、作り手と売り手こそ真剣に漫画を考えなくてはいけないと思い知らされました。

新人漫画賞受賞者の漫画を1冊の本にして売り出す。作者にとってこれほど勇気付けられて、プレッシャーになって、もっと面白いものを描いてみたいと思うものはないでしょう。そしてなんといっても若い。まだ10代の作者のマンガが載っていたりと、ジャンプSQの並々ならぬ「意思」を感じます。

作者の方はこの本を書店に探しに行ったり、親類縁者に喧伝して、その人たちが書店を探しに行ったりしたことでしょう。どうです、結構置いてなかったでしょう?こういう本は昔からあるのですが、いかんせん刷り部数が少ない。少ない書店は1冊とか、0冊とかがお決まりです。そう、この「comic selection」に載るのがゴールではないし、通過点ですらない。書店をその作品が埋め尽くすまでが通過点だと思います。作り手も売り手も読み手も、面白い漫画には目がありません。もしかしたら化けるのではという作品に対しては、出費も手間も苦労も惜しみません。オモシロイ漫画お待ちしております。では。
by manga_do | 2011-02-14 15:51 | マンガの潮流 | Comments(1)

売れっ子漫画家養成ギブス

c0203277_14142816.gif少年少女
(ねむようこ・小学館・980円)


<あらすじ>
死にかけのおじいちゃんに「会い」に来た田舎で、少女・ハンナはふとしたことで恋人からもらった指輪を失くしてしまう。その指輪を捜すのを手伝ってくれる少年に出会う。指輪を捜すことが大事なのか、探すものが指輪なのか、何を捜しているのか、少年との出会いでハンナの心が大きく揺れ動く。表題作「少年少女」を含む6作の恋でもない、愛でもない、好きでもない、慕うでもない、全部かもしれない短編集。

「午前3時の無法地帯」などでおなじみのねむようこの最新作です。ねむようこと言えば祥伝社、フィールヤングといったイメージですが、小学館「flowers」で連載していたんですね。しかも、帯に「巨弾新連載開幕!」の文字が。月刊flowers3月号に新連載が載ってました。タイトルは「とりあえず地球が滅びる前に」。恋と友情、バスケと・・というのが主題らしく、実際読んでみました。面白すぎる。1話目から全快な内容だし、ねむようこお得意の部分と新要素が加わり、よりパワーアップしてますやんという印象ですかね。例えていうと、ドーラおばさんが巨神兵と合体した感じではないでしょうか(やりすぎか)。早く続きが読みたいよ。

ねむ作品(ねむ文学か?すでに)はキャラクターの見せ方が本当に心地いい作品ですね。質感が伝わってくるような感じともいえるでしょうか。漫画独自の非写実的な手法でありながら、何か「そこにある」感じがよく伝わってきます。何か親近感にも似ていますね。登場するキャラたちにお友達になってほしいと思うのは私だけではないと思います。

この「少年少女」にも今までの作品とは違う、「明る奥深さ」みたい何ものが見えるのも「flowers」との作り上げではないでしょうか。
by manga_do | 2011-02-10 15:22 | マンガ紹介 | Comments(0)

お待たせ!!

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涼宮ハルヒの驚愕
(初回限定版上下巻セット5/25発売、通常版6/15発売)
(谷川流・いとうのいぢ・角川書店・限定版1,260円・通常版各580円)


前作の「涼宮ハルヒの分裂」からもう4年が経過しています。
今回も高校2年生に新学年を迎えた「SOS団」の面々の話になると思いますが、何と言ってもそのボリューム。上下巻刊行で約600ページもある大作ということらしいです。初の上下巻、初の限定版と4年の月日をぐっと縮める「フォース」を感じますね。

ところで「涼宮ハルヒ」シリーズといえば、アニメシリーズも抜きにして語れないものです。このアニメもまた再開するのかこれもまた楽しみではあります。個人的には「いとうのいぢ」版のアニメというのも見てみたい気がします。おふざけで作ってくれませんでしょうか?
by manga_do | 2011-02-07 17:26 | マンガ紹介 | Comments(1)

2億冊は素敵なことさ

c0203277_13244851.jpg本は、これから
(池澤夏樹編・岩波書店・861円)


池澤夏樹、池上 彰、石川直樹、上野千鶴子、内田 樹、菊地成孔、五味太郎、最相葉月、鈴木敏夫、田口久美子、出久根達郎、幅 允孝、原 研哉、松岡正剛など各界の論客37名が、「本とは?」「本文化」「これからの本との関わり方」について熱く語る。

この本が出版されるに当たって、まず目の前の問題として「電子書籍」の問題があったというのは誰の目にも明らかでしょう。「電子書籍」、紙媒体とは違う形で「本」を形成するもの。これを新たな出版形態として歓迎する人もいれば、不便と感じたり、電子書籍の存在自体を歓迎しない人もいるでしょう。しかし、電子書籍が今後の「本」や出版全体に暗い影を落とすというのは、また違う議論ではないかと思います。むしろ、読み手と本とのこれからの関わり方、本とどう付き合っていくかが大事なのではないでしょうか。

この37人も意見は分かれるところですが、表現媒体が変わっても「本」という著作物が、一般に広く知れ渡るようなシステム自体に変化はないのではないかというのが、大筋で一致を見ていると思います。

鈴木敏夫は、(岩波書店に対して)こんな本を作ってないでもっといい本作ったらと書いています。私も同感です。久しぶりに岩波新書を読んで気づいたことなのですが、紙の質が良い。印刷もきれいだし、長持ちしそうだし、持ったときの感触が良い。こんな本作る出版社が考えることはもっと無限にあると思います。今までのイメージとポリシーは持ちつつ、何か新しいものを産み出して読者を惹きつける、これこそが「本」の素晴らしさだろうと感じますね。そして、本を読むこの幸せは当分の間変わらないでしょうし、いつまでも享受していたい恩恵だと思います。こういう時って本棚が欲しくなりますね。
by manga_do | 2011-02-05 16:33 | 本はホント不思議さ~ | Comments(0)