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アメ村マンガ研究所

mangamiti.exblog.jp

カテゴリ:1巻目にしてオモシロイ( 216 )

「うまい」の魔力

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澤飯家のごはんは息子の光がつくっている。

(女性セブン連載中)
(山田可南・小学館・550円)


<あらすじ>
母親が亡くなって半年、父と妹との3人暮らしもようやく板についてきた。中学1年生の澤飯光(さわいひかり・男の子)は味オンチ、無精、メタボ気味の父親に代わって、澤飯家の台所を任されている。料理は上手く、料理教室をやっていた母親に一歩でも近づきたいと大奮闘。手持ちの具材で工夫をしたり、新しい料理にチャレンジするなど、上昇に貪欲。毎日の食卓に活かせるアイデアも満載ですよ。

料理漫画、百花繚乱です。最高の食材、最高の料理人、誰も作ったこと、食べたことのない料理などなど。料理漫画は、人間の「食べたい」という抑えられない気持ちを、克明に描くからみんな読んじゃうんだと思います。しかも、「うまい」とか言って美味しそうな表情をしていたらなおさらですよね。

この本は、そことは少し違う「うまい」を見つけられる、見てしまいたくなる本です。食卓を囲む、食卓、晩御飯が家族の生活の全員の接点になっているのが、本当の家族の形だと思います。不幸にして母親を失い、一人欠けた食卓には、皆の接点を見失いがちになります。しかし、中学生の光は、母がいたときの食卓に人一倍よい思いでを持ち、また囲んでみたいという気持ちが強い男の子です。ほんの何気ないこと、少しの工夫で料理がおいしくなり、家族に笑顔と「うまい」が戻った時に、そこにはどんな最高の食材も最高のシェフもいりません。私はそういう食卓の料理や「うまい」は一生忘れないと思います。

みなさんにもそんな最高の食卓を囲んで、忘れられない時間を過ごしたことがあると思います。この本はそういうマンガです。同じご飯を食べる。それこそが家族なんだと思います。今日は卵かけごはんが食べたいな。
by manga_do | 2011-07-13 14:45 | 1巻目にしてオモシロイ | Comments(0)

良きかな、思春期

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14歳の恋

(年3回発行の「楽園」連載中)
(水谷フーカ・白泉社・750円)


<あらすじ>
周りから、「大人っぽい」「女らしい」と言われ続ける田中彼方(かなた)と、「あか抜けている」「遊んでいそう」と言われ続ける吉川和樹。互いの評価に合わせるように、二人はその役を演じ続ける。しかし、実は二人は小学生からの仲良しで、そんな周りの目から悩みながらも毎日を演じてきた。でも、本当は自分たちが「大人」になっていることに気付かずに、「子供」っぽさを演じているだけということに気付く。それを知った瞬間、二人の恋が始まる。大人と子供、男と女、恋と学校。14歳にしか体験できない夏がそこにはあります。

読後、「あ~~いい」と絶対言いたくなる作品です。互いの目線があった時のドキドキ、席替えのドキドキ、この広い世界で、短い間でも自分たちだけの時間を過ごせるドキドキ。こんなことができる14歳を心の奥底の葛藤とともによく描かれています。今まで読んだ「キュン」「ドキドキ」とかのマンガよりも、もっともっと日常の何気ないことが嬉しかったり、楽しかったり、ドキドキしたりとそんなところがすごく伝わってきます。表情で見せる難しさがよくわかっているだけに、セリフが少ないこと、表情や心の声がもっと前に出て、本当にそこにある14歳が出ています。

作者の水谷フーカは前作「GAME OVER」で大人の女性と年下男性との恋を描き、大人の恋であるのに、普段の何気なさにドキドキするという恋の素晴らしさを描いていました。そして、細かなところなのですが、すごいこだわりがあるのかな?と思うシーンがあちらこちらこちらあちらに散りばめられているのが、この作者の特徴です。実際会って聞いてみたいぐらいです。

「14歳」「夏」「学校」「恋」。今まで何度も何度も描かれているシチュエーションですが、まだこう描けますかと感心してしまいます。本当の14歳はマンガで描ききれないぐらいの「お話」があるということなのですかね。
by manga_do | 2011-07-07 10:53 | 1巻目にしてオモシロイ | Comments(0)

探偵もの

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リバースエッジ大川端探偵社
①(現在3巻まで刊行)

(ひじかた憂峰・たなか亜希夫・日本文芸社・620円)


<あらすじ>
隅田川のほとりにたたずむ1軒の探偵社。なんてことない日常の依頼から、世にはびこる都市伝説まで。この探偵社に掛かれば解けない謎はない・・たぶん。いつもの日常を切り取った1話完結のお話。

「軍鶏」のたなか亜希夫が描く、平成だか昭和だかわからないが、たしかに今現在の日本の一端がストレートに表れている作品です。

なにか、ハードボイルドにしてはハートウォーミングだし、探偵ものにしては大立ち回りがなかったり。中途半端かと思いきや、こんなに面白い探偵ものは見たことがないと、読後に誰かに言ってしまいたくなる内容です。絵師と称される、たなか亜希夫の画力から放たれる緻密な絵はもちろんですが、細かな話題が大きくなったり、スケールのでかい話が意外と身近なところのオチだったりと、もっともっと読んでみたくなる1話完結ものです。

続きが気になるよりも、このあとどんなお話が待っているかのドキドキ感の方が大きいですね。
by manga_do | 2011-07-05 10:54 | 1巻目にしてオモシロイ | Comments(0)

実録

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裁判長!ぼくの弟 懲役4年でどうですか

(松橋犬輔・北尾トロ・徳間書店・650円)


<あらすじ>
ドラマにもなった「裁判長!ここは懲役4年でどうですか」のコミック版を手掛ける、漫画家松橋犬輔の実弟が2009年9月2日に逮捕される。テレビのニュースにも取り上げられるほどの事件を起こした弟、裁判漫画を描いている兄。家族を巻き込み、世間を巻き込む280日間にも及ぶ裁判の記録です。

裁判漫画を連載中に自分の身内が逮捕される。このマンガみたいな展開でありながら、家族が故の苦悩を隠さず、さらけ出して描いた松橋犬輔の漫画は、実録とはまた違う、良い悪い全てが詰まった漫画になっています。

涙、吐露、苦悩、救済、家族。全てが至近距離で描かれていて、犯罪が家族を離れさせるといったプロパガンダ的な描き方でなく、弟に反省してほしい、母親にはあまり知ってほしくない、作者自身が漫画にする苦労と葛藤、近親者でしか味わえない世間の目など、本物がそこにはありました。淡々と描かれていますが、これを漫画にするときの伝え方は、漫画を読む人、描く人、全てに参考には大いになると思います。
by manga_do | 2011-06-27 19:21 | 1巻目にしてオモシロイ | Comments(0)

対土下座

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どげせん

(週刊漫画ゴラク連載中・以下続刊)
(板垣恵介・RIN・日本文芸社・620円)


<あらすじ>
高校の教員である、瀬戸発(せとはじめ)は交差点でやくざに追われている女性を助けるため、大通りの横断歩道の真ん中で許してもらうための「土下座」を行う。あまりのきれいな堂々とした土下座、衆人環視の上、瀬戸が発した言葉は「どうか・・お赦しを」。やくざはその場を立ちさざるおえない。究極の赦しを請う行為、土下座。人に赦しを請う、自らを無にして相手に飛び込む、それをまざまざと見せつける漫画です。

「グラップラー刃牙」シリーズの板垣恵介原作の、人の究極の命乞いのマンガです。土下座をすると相手が許してくれるという、創作ならではの展開ではなく、人に心を開かせたり、人からモノを頼むときに本当に考えさせられるマンガです。土下座をするからには真剣で、命がけでしなくてはと考えたくなります。

その圧倒的な存在感、真剣さゆえの揺るがない気持ち、この漫画は間違いなく今年、2011年の漫画界の台風の目ではないでしょうか。

6/29に、な、なんと2巻目出ます。あまり巻数が続くようなコミックではないですが、明らかに今もそしてこれからも生きていける作品です。
by manga_do | 2011-06-26 11:16 | 1巻目にしてオモシロイ | Comments(0)

年俸1800万円の憂鬱

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グラゼニ

(モーニング連載中・以下続刊)
(森高夕次・アダチケイジ・講談社・570円)


<あらすじ>
プロ野球に高卒で入団して早8年、スパイダーズ中継ぎ投手凡田夏之助の特技は、全球団の1軍選手の「年俸」をソラで言えること。歩く「選手名鑑」なのです。対戦打者の狙い球を探り合うより、自分の年俸1800万円より高いか低いかで今夜も凡田夏之助26歳、勝負に出る。

年俸1800万円。サラリーマンに限らず、皆がうらやましがる金額であるが、プロ野球選手ということであるならばそうも言ってはいられない。選手寿命が短いといわれているプロ野球選手であるなら尚のこと。「億」をもらっている選手が多い中、来年消えるかも、来年減額かもしれない選手にとっては、毎日ががんばりどころの考えどころではないでしょうか。

この作品、その辺の悲哀であったり、面白さであり、1球にかける真剣さが伝わってきます。色々野球漫画はありますが、自分が野球選手だったらな~って考えやすいマンガですね。
by manga_do | 2011-06-25 15:49 | 1巻目にしてオモシロイ | Comments(0)