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アメ村マンガ研究所

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カテゴリ:日曜マンガ博物館( 31 )

日曜マンガ博物館(21)玖保キリコ

日曜マンガ博物館
第21回


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玖保キリコ

「シニカル・ヒステリー・アワー」「いまどきのこども」「バケツでごはん」などで、その独特の画風とウィットに富んだテンポで時代を彩った、玖保キリコを特集します。

イラスト風の画風で親しみのあるキャラたちで、尚且つそのギャグセンスにはいつもプッと笑わせてしまう。当時流行りだした言葉「シュール」として捉えられることが多く、ともすれば「オチなし」な作風と誤解されることもしばしば。だけど、この作家さんほど世間、特に女性に支持されるのに時間がかからなかった人もいないんではないでしょうか?世のおしゃれさんの「カワイイ」をすぐに独占してしまう。

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そしてブームは瞬く間に広がり、グッズやアニメ化などさらに多くの人を魅了するのでした。私も「いまどきのこども」のさしを持っていました。中でも、スピリッツに連載して人気を博した「バケツでごはん」は作品内容、コミックの装丁などトリコになってしまいましたね。

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動物園の動物たちは開演中、人間に愛想を振舞っているだけで、動物園で働くプロのパフォーマーだったという設定です。動物園の地下鉄を使って家路について、それぞれ家庭を持っているんです。

そのなかで動物たちは「会社」内での人間関係、待遇に悩み苦しみ、家庭に迷うなど、擬人化された人間社会を表しているかのごとくです。その人間味あふれる感情とその愛らしい絵が多くの人の共感を得ました。

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その後、更なる大ヒット「動物占い」のイラスト担当し、その地位を不動にするのですが、このバケツでごはんの成功がこの動物占いに繋がったのは疑う余地がないでしょうね。

その後、彼女は英国人男性と結婚し、マンガを続けながらロンドンに在住するという生活を10年以上続けています。そこで生み出される作品はまたまた新境地な作品が多く、ロンドンを扱った作品「ロンドン丼」(角川書店・1,365円・発売中)と「てきとーロンドナー」(白泉社・silky連載中)の2作品を手がけています。

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彼女独自の視線とリアルロンドンを堪能しましょうか!



著者近影

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by manga_do | 2012-08-05 00:00 | 日曜マンガ博物館 | Comments(1)

日曜マンガ博物館(20)雪の峠・剣の舞

日曜マンガ博物館
第20回


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雪の峠・剣の舞

(岩明均・講談社・714円・(漫画文庫版・662円))


「寄生獣」「ヒストリエ」の岩明均が描く、日本の戦国時代を主眼とした2話を収録した短篇集です。

<雪の峠>
天下分け目の関ヶ原の合戦に「西軍」につくこととなり、その後敗軍となって、本拠地常陸(現在の茨城県)を追われ遠く出羽(現在の秋田県)に配置替えとなった佐竹氏は、源氏の直系で関東の雄であったプライドによって、新しい生活に主君、家臣共々戸惑いと不慣れを感じていた。そんな太平の世が訪れる時代にあって、家臣たちの日頃の憂さ晴らしは、もうすでにその時代でも伝説となっていた「上杉謙信」の逸話を語らう場だった。


<剣の舞>
家に乱入してきた兵に乱暴され、家族を殺された娘・ハルナは復讐を遂げるべく、当代きっての剣豪上泉信綱の門を叩き、その弟子疋田景兼に弟子入りする。その剣の才を見込まれて上達をしていくが、その後、道場にも戦雲が立ち込める。


こんなリアリティにあふれて、人間ドラマを表現している歴史ものも少ないのではないでしょうか。わずか1巻で終わってしまわずに、この先もじっくり見てみたい。それはすごく感じます。

この作者・岩明均の緻密な戦国描写のキレイさは、そのリアリティもそうですが、そこに歴史の史実をメインに置きながら、人物がそう勝手に発言、行動しているかの錯覚をおこす効果があります。特に、城や区外図等の図説はバンバン入ってきているし何といっても漫画家の説明の域を超えています。まるで建築家が引いたみたいになっています。

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現在、岩明均は古代ギリシャを描いた「ヒストリエ」を執筆中。そこでも、「ときは移り、場所は変わらねど、人の営みに何ら変わることがない」といったものを十分に具現化した作品になっています。歴史好きも納得できるし、そうでなくても人間ドラマ、人間の残酷性、刹那感をよく表しています。この本が11年前に発行されたというのを聞いて、面白い本の不変をも感じます


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by manga_do | 2012-07-29 00:00 | 日曜マンガ博物館 | Comments(0)

日曜マンガ博物館(19)あのマンガのキャラは若かった!?

日曜マンガ博物館
第19回



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あのマンガのキャラは若かった!?

先週の「身長」に引き続いて、マンガのキャラの「設定」を比較してみます。今回は「年齢」です。

「あの人とあの人が同じ年齢?」「意外と若いなあのキャラ。」「え、人間?」細かく挙げていきます。

最初に「28歳」を取り上げてみます。ナゼ28歳かと言えば、この28歳が一番ゴチャゴチャだからです。順不同でいきますね。南波日々人、ドズル・ザビ、大豪院邪鬼、則巻千兵衛、ブラックジャック、緋村剣心、そして、マスオさん。この7人が同じ年齢とは・・。ドズルとマスオさんの28歳はにわかに信じがたいが、28という年齢に何か特別な意味があるのか?勘ぐってしまいますね。20代で一番しっかりした年齢という意味ではしっくりくる年齢ではありますね。

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この2人同じ年。しかも、28歳!
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次は青春の登竜門年齢「16歳」。16歳と聞いて青春真っ盛り、大人の階段などを思い浮かべる人は多いでしょうが、こんな人たちも16歳でした。

魔鈴さん、ララア・スン、東方仗助、桜木花道、流川楓、涼宮ハルヒ、金田。

これも濃い16歳ですね。聖闘士聖矢の魔鈴さんが16歳と言われてもという感じですが・・。

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さらに行きますよ。次は100歳を超えている人(?)たちです。

DIO(117歳)、ゾロリ(124歳)、Dr.くれは(139歳)、郭海皇(刃牙・146歳)、聖☆おにいさんのイエス(2011歳)。

特に刃牙に出てくる郭海皇はとてつもなく強かったのですが、最後は戦いの最中に「老衰」で死んでしまったのです。だから、享年でもあります。

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いかがでしたでしょうか?キャラの年齢がいかに、お話とは関係なく設定だけであるかということがよくわかりましたね。でも、年齢を知って、その作品を見れば面白さが多少なりとも増幅できますね。

最後に、一番の年齢不詳を紹介しますね。マスオさんの同僚「アナゴさん」です。

御年27歳です。
マジで?
by manga_do | 2012-07-22 00:00 | 日曜マンガ博物館 | Comments(0)

日曜マンガ博物館(18)マンガのキャラの身長って?

日曜マンガ博物館
第18回


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マンガのキャラの身長って?


ウソップは174cm、ネプチューンマンは240cmなど、意外と知らなくて、このキャラとこのキャラは一緒だったのかなど、マンガのキャラの身長を比較してみます。

まずは永遠の「ボーイ」、野比のび太。彼は140cmで小学生高学年としては平均的だと言えます。しかし、ドラゴンボールに出てくるチャオズ(138cm)、磯野カツオ(143cm)と近い身長というのは意外ですね。

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次は大きい人。北斗の拳のラオウ(210cm)といえば、ムチャクチャデカいというイメージがありますが、実はそれより2cmしか違わない男がいます。ラーメンマン(208cm)です。ラーメンマンってそんなに大きかったのかい?さすが超人。あと、ジャイアント馬場も209cm。う~ん、さらに複雑ですね。

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さあどんどん行きますね。ガンダムのアムロ・レイは168cm。劇中当時15歳というのを考えると普通なのですが、スラムダンクの宮城リョータと同じで、ワンピースのナミが1cm大きい。

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最後に身長の変化が激しいお方を2人。一人は北斗の拳の「山のフドウ」(225cm)。設定はこの身長ですが、初登場は明らかに4mあります。その後縮み(?)この身長に落ち着いています。

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2人目は男塾の「大豪院邪鬼」。初登場は確実に10mを超えていたが、その後萎縮(?)。人並みの身長になっている。その後の設定で、あまりの威圧感で10mぐらいの大きさに見えたという設定が付け加えられる。なんじゃそら。

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まだまだ身長モノのネタは尽きませんが、次回に持ち越しということで。次は年齢モノもやってみます。ドロンジョ様とサザエさんは同じ24歳とか。お楽しみに。
by manga_do | 2012-07-15 00:00 | 日曜マンガ博物館 | Comments(0)

日曜マンガ博物館(17)山岡士郎に学ぶ

日曜マンガ博物館
第17回


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山岡士郎に学ぶ


ご存知、「美味しんぼ」の主役、山岡士郎。

普段は東西新聞社のグータラ、お荷物記者なのに、こと料理となると膨大な知識や料理の腕前を披露する。美食倶楽部の主宰・海原雄山とは実の親子関係にありながら、母の死をきっかけに絶縁状態になる。東西新聞のグルメ企画「究極のメニュー」を同僚であり、後の伴侶となる栗田ゆう子と二人で作っていくのだが、そこに「至高のメニュー」を掲げる海原雄山が立ちはだかる。

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この親子の「究極vs至高」の戦いは本当に長く続きます。お互い持てる料理の知識と腕を駆使して。

山岡士郎はグータラ新聞記者ということで、一見不利なようですが、どっかのビルの屋上に住んでいて、そこは本格的な厨房を備えています。そう、彼は常に料理と向き合う生活を送っていたのです。

それを端的に表す例として、彼の「顔の広さ」が挙げられます。誰かが「○○が嫌い、食べたことない、美味しいの?」と言えば、「ちょっと来い」と手を引っ張り、飛行機に乗せてどこか遠くの生産農家や養鶏農家などに連れて行く。そのとき必ず先方に言われるのが

「あら、山岡さん」「山岡はん」「し~ろ~さん」等である。

北海道であろうが、沖縄であろうがである。どんだけ顔広いねん。ビックリしてしまうが、いずれも顔見知り程度でなく、懇意にしているというレベルである。挙句に食材を分けてもらっていたりするから、こりゃまたすごい。

海原雄山を追い詰めるときに、この人脈と行動力が結構決め手になっている。ここから導き出される教訓は
「どこにいっても『あら、山岡さん』と言われる存在になれ」ということではないでしょうか。

決して何回も通ったりすることが懇意になることではなく、1回あっただけでも、次回あった時に懇意になっている存在感と熱意ではないでしょうか。普段、居眠りしてギャンブルにはまっている彼がそれができるのは中々理解に苦しむところではありますが。最後に、結婚して双子の子供が出来て、その双子をあやしている「祖父・海原雄山」で締めくくりましょうかね。それにしてもこんな顔してたんや・・。

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by manga_do | 2012-07-08 00:00 | 日曜マンガ博物館 | Comments(0)

日曜マンガ博物館(16)ドラゴンクエスト26周年の刮目

日曜マンガ博物館
第16回


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ドラゴンクエスト26周年の刮目


1986年5月27日。この日、日本のテレビゲームの全てをひっくり返す大事件が起こった。
「ドラゴンクエスト」発売です。

当時、ゲーム少年だった私は、その後の受験戦争の初っ端も初っ端、中1の1学期の中間テストを迎える前日でした。中学入学を控えたあたりから、ゲームから離れるほうがいいのでは?と考えていて、ほとんどしていなかったのですが、ふと読んだ「ファミ通(当時ファミコン通信)」の新作紹介記事(今では考えられないくらい小さな記事でした)を読んで、日本でも本格的なRPGが発売されるのだなという「小さな感覚」でしかなかったのです。

当時RPGと言えば「ボードゲーム」が主流で、今のHPとかアイテムとかマップとかは盤上で再現されていたのです。これはこれで面白かったのですが、複数プレイ、鉛筆、ノート片手でと毎日、毎時間できるものではなかったのです。それをテレビゲームでと、最初は懐疑的だったのですが、ドンドン膨れるやってみたいという気持ち、こりゃダメだわの世界に陥ってしまいました。しかし、発売日は人生最初の「中間テスト」前日。それまでにも勉強に手がつかないのに、発売されたら・・。

気がついたら近所のおもちゃ屋に買いに行っていました。雑貨店とも言うべきおもちゃ屋で、学校指定の体操服と花火とドラクエが同じショーケースに陳列されていました。しかも、発売日であっても入荷は1個だけ。

「ドラゴンクエストください!!」

あとにも先にも、あれだけ焦って宣言したことはないと思います。もう永遠に会えなくなる好きな人にかける言葉でもあんなに高らかに言うことはないでしょう。それぐらいデカく、はっきりとしていました。おもちゃ屋のおばちゃんはそんな私を知ってか知らずか
「ドラゴン(花火の)か?」

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「いえ・・・・ゲームのドラゴンクエストです」「ああ、これか」「なんや、これおもろいんか?」今聞けば誰もが笑うけど、当時は私もさあ?としか言えませんでした。早速帰って、電源オン!10分もしないうちにトリコになったのは言うまでもありません。

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当時のファミコンの性能は今の携帯よりもだいぶと低く、まずドラクエのゲーム上に50音が全部入れられなく、限られた言葉でセリフやアイテム名を構成していたというのはあまりにも有名な話です。そんな、ドラゴンクエストには、今では当たり前のセーブ機能がなく、ドラクエもそのセーブ機能がつくのはその2年後の「Ⅲ」になるまででした。そこで、みんなは自分のメモなり、ノートに、自分のセーブの代わりになるパスワード「復活の呪文」を書いていたりしました。私は、同じくドハマリした父親がワープロで作った「復活の呪文」帳を使って楽しんでいました。先日、自分の昔の荷物を整理していたら、何かのノートに復活の呪文が挟まっていて、そこにはご丁寧に日付とプレイヤー名とレベル、復活の呪文が書けるようになっていて、日付が1986年7月14日、レベルが39で、プレイヤー名が「くわた」でした(阪神ファンなのに)。

黎明期とはいえ、当時は全てが最新鋭。不便なところも何とか自分たちの知恵と言う名の「ゲーム欲」でなんとかしていました。むしろ、最新鋭でありながら、イメージしづらいゲーム構成が自分たちの想像の翼を羽ばたかせていたのかもしれません。


迎えて、2012年夏。今年はドラクエシリーズの最新作
「ドラゴンクエストⅩ 目覚めし五つの種族 オンライン」
がWiiで8/2に発売されます。初物づくしの本作、初Wii、初オンラインなど、とにかく今できるゲームの性能を最大限に活用しています。前作から採用している装備に応じてグラフィックが変化したり、3Dバトルなどのほかに、新しい要素としてオンラインということで、色々な人とパーティーを組んで、冒険を進めたり、メッセージをやり取りしたり、武器を生成する職人システムを採用したり、自分の家を作ったりと、とにかく今面白いとされているゲームのようさが全部「ドラクエ」に詰まっています。

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究極のドラクエと進化したのはとにかく楽しみです。ですが、うん?と思ってしまうこともあります。それは「ネット利用料金」。オンライゲームでは当たり前なのですが、ドラクエはオンラインゲームにすることがそもそも目指していたことなのか?低年齢の子供も含めて、期間で利用料金を徴収しないとゲームができないということが全てのドラクエファンの総意なのか?ソフトを高いお金を出して買って、そこから利用料金を徴収する。ビジネスとしては成功かもしれませんが、じゃあしなくてもいいよと言えるほど、ドラクエは端のゲームなのか?そこを重々考えて欲しかったですね。

これでドラクエファン離れが進んでも一部のファンがどんどんやってくれて潤う。それがこれから続くドラクエ伝説の一部になって定着することは避けて欲しいですね。とにかく、ゲーム内容はむちゃくちゃ面白いだけに。

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by manga_do | 2012-07-01 00:00 | 日曜マンガ博物館 | Comments(0)

日曜マンガ博物館(15)弓月光

日曜マンガ博物館
第15回


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弓月光


「甘い生活」「みんなあげちゃう」「ボクの婚約者」で一世を風靡した弓月光。そのお色気あり、ラブコメディの作風はデビューから40年以上経った現在も、現役最前線バリバリです。


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そのリアルともデフォルメともとれる画風でありながら、時折抜群に描ききる女性の美しさや色気は、独自のものがあり、読者の好みや年齢層に左右されない表現は、今見ても色あせないです。

特に驚きの表情やそれを引き立てるコマでのビックリ表現は、お話の濃淡をはっきりさせています。コメディ要素が強いので、そこから妖艶さととにかく幅広です。

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そんな弓月光が現在連載中なのが「瞬きのソーニャ」

本当に新境地というか、お話が旧ソ連が開発した人間兵器ソーニャという少女が、祖国から逃げ、自分を見つけるというサバイバルアクションなのです。

本当に今までとは全く違う弓月光なのです。今までそういうことをやったことのない作家さんは、そのへん結構適当に描いていたりするんですが、この作品は考証はバッチリですし、何より弓月画風がこれほどどんな漫画にもマッチするんふだということにはとにかく驚きでした。新境地というか、全く違う作家が立っていて、それがものすごいベテランということになるでしょうか。これは驚異ですね。

是非ともアニメ化などしていただけたらとも思いますね。

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by manga_do | 2012-06-24 00:00 | 日曜マンガ博物館 | Comments(0)

日曜マンガ博物館(14)方舟

日曜マンガ博物館
第14回


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方舟

(しりあがり寿・太田出版・1,260円・2000年作品)

今日みたいな雨の日は、このマンガが良く合いますね。

雨が止まなくなった世界。最初はすぐ止むと思っていたのだが、いっこうに止む気配がない。そのうちに、床下床上浸水が始まり、人々の不安はより増すばかり。

そんな時に誰からともなく聞こえる「終末」の声。

現実に雨が止まなくなった時に考えられる事態は、パニック映画のようにはならず、しりあがり寿が描く人々の不安から起こる不毛な争いやあきらめ、妄想に繋がるのではないでしょうか?この作品は「止まぬ雨」という自然現象、そう別に起こり得ないと言い切れない自然現象が、人々の考えなくてもいい不安と考えなくてはいけないことの欠如を生んでしまいます。

それをパニックと呼ぶにはあまりにも稚拙な人々の無関心と独占欲と判断力の無さがこの漫画の中での「パニック」をより盛り上げています。

印象的なシーンが「テレビ」の取り扱われかたです。雨がやまないことに対して、「雨が止むか?」といった討論特番を組んだり、水泳選手やタレントを街で泳がせたりと、予言的な表現でなく、今も続けられている「無関心」「未解決」な手法です。いわば「動」のパニックでなく、「静」のパニックが上手く描かれています。

もしかして、この先このようなパニックが起これば、人々は「楽観的静動パニック」を起こすのでしょうか?違うと言えないのが、この本が伝えているところでないでしょうかね。
by manga_do | 2012-06-17 00:00 | 日曜マンガ博物館 | Comments(0)

日曜マンガ博物館(13)サッカー以外の高橋陽一

日曜マンガ博物館
第13回



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サッカー以外の高橋陽一



「キャプテン翼」の面白さ、すごさは今さら語ることでもないです。何といっても世界中で愛されていて、そのキャラ達は世界共通語になっています。

そんなサッカー一筋のの高橋陽一も長い漫画家生活の中で、サッカー漫画以外を描いていたというのはあまり知られていません。「キャプテン翼以外描いてたっけ?」正確にはキャプテン翼を描いていない時期に描いていたのです。

キャプテン翼が一大ブームとなって、その人気に陰りが出始めた80年代後半、中学生編が終わり翼君がブラジルに留学してまず第一期が終了します。当時はここで全てのケリがついたと思ったので、その後すぐに連載が始まった新連載「翔の伝説」(種目テニス)はその違和感からか、1年連載持たずに、全3巻で終わってしまいました。

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絵は明らかに翼君ですね。

次に描いたのは野球漫画、「エース!」でした。これは結構ファンだという方も多い作品ではないでしょうか。ストーリーはよくある転校生が弱いチームを強くする(キャプテン翼も)という展開ですが、とてつもないアクロバティックなプレーなどのオンパレードでなく、野球漫画として十分楽しめる作品になっています。でも、後半はやはりそうきたかという超人プレーが出始めました。全9巻で終了。

次はボクシング「CHIBI」。中学生にしては小さすぎる主人公はいじめられっ子なのですが、ボクシングと出会い自分のダメさを克服し、そのハンディとなる身長をも武器にしていくというお話です。この作品は、今までのキャプテン翼臭が一切なく、キャラの感じも今までとは違いう新境地に達している感じでした。

1巻で終わる短編というのもありました。「100mジャンパー」これはスキージャンプのお話で、今のように技術も装備も進んでいない時代に、100mを飛ぶことができる高校生を描いたお話です。

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以上のように、サッカー以外も描いている。本当にスポーツが好きなんですね、この方。現在「エース!」しか発行されていない「サッカー以外」です。今も描いてくれたらいいのになと思うのは酷でしょうか?なんせ、これだけサッカー熱が盛り上がっているわけですから。

実は前述の「CHIBI」、連載の時にも感じたのですが、変な終わり方をしています。明らかに、かつ強引に終わった感じがします。その理由も高橋陽一らしいものでした。連載が終わったのが1993年。そう、Jリーグが開幕した年です。ボクシング描いている暇ないわってなったのでしょうかね。それが証拠に、すぐにキャプテン翼の続編が始まっています。

この人らしいや。

キャプテン翼を徹底解剖するのはまたの機会ということで。

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by manga_do | 2012-06-10 00:00 | 日曜マンガ博物館 | Comments(0)

日曜マンガ博物館(12)キテレツ大百科

日曜マンガ博物館
第12回


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キテレツ大百科

(藤子F不二雄・小学館・全2巻・各1,470円)


木手家に代々伝わる秘伝書、「奇天烈大百科」を使って数々の発明品を作る小学生のお話です。

1行にまとめるとなんと簡素且つ無味なことでしょうか?ドラえもんに匹敵する作品でありながら、数々の謎が多いこの作品。このキテレツ大百科を好きと公言するファンは多くてもこの作品の数奇な「旅」を知る人はあまりいないのではないでしょうか。

あらすじは、藤子作品では珍しい成績優秀の発明好き木手英一(キテレツ)が木手家に代々伝わる秘伝書、「奇天烈大百科」を父から譲り受けるところから始まります。江戸後期の発明家・キテレツ斎が書き残した発明書を受け取るのですが、中は白紙。白紙であることに代々の先祖はいぶかして、この発明書の価値に誰も気づいていなかったのです。同じく代々伝わった神通鏡というメガネをかけると奇天烈大百科を読むことができ、数々の発明品を作っていくというお話です。

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その発明品の第1号が、もう一人の主人公コロ助です。コロ助は現代のいろいろな廃材で作られており、平仮名程度ならかける知能を持っている。ドラえもんとはちがって、ロボットという性格でなく、あくまでも人間に近い存在として木手家の一員になっている。もちろん、押し入れに寝かせられるというような疎外感っぽさは味わっていない。

よく作中に登場する発明品やストーリー展開がかのドラえもんに似ていると揶揄されることが多い。実際、タイムマシーンや物を大きくする光線や雲を作る機械等、発明品一つとっても共通点が多く、ストーリー展開もあれと思ってしまうことが多い。

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しかし、この漫画は連載当時はあまり知られていない作品で、なんと40話で終了している。ドラえもんがコミック45巻でもまだ未完だったことを考えるとその差は歴然。連載雑誌は「家の光」という農業関係者読む雑誌に連載されていて、アニメ化されるまで結構知られていなかったのです。そのアニメは331話、8年にも及ぶ大作になり、キテレツと言えばこのアニメの絵が浮かぶ人は多いと思います。

40話ということで最終話があるのですが、唐突にやって来ます。ある朝、「白紙」のボロボロのゴミだと思った母親が捨てたということで、必死に探し回るのですが、結局灰になってしまいます。大百科に頼らず生きていくと決めて物語は終わります。

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連載は短く、アニメは長かった本作、その時々の事情は違えど、藤子F不二雄の言いたかったメッセージはなんだったのでしょうか?ドラえもんでは未来の道具、パーマンは人の何百倍の力、エスパー魔美では超能力と、誰しも憧れる力をマンガにしたという側面があります。もちろん、キテレツもそうなのですが、主人公が本を頼りに「ものをつくる」、アニメでは主人公すら食ってしまうほどのキャラが多彩で、面白話主体。藤子F不二雄が存命なら、こんな作品がもっと多く作られていたのかもしれませんね。

ね、コロちゃん。

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by manga_do | 2012-06-03 00:00 | 日曜マンガ博物館 | Comments(0)