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アメ村マンガ研究所

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カテゴリ:日曜マンガ博物館( 31 )

日曜マンガ博物館(31)桜木花道のモデルは?の最終回答!!

日曜マンガ博物館
第31回



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桜木花道のモデルは?の最終回答!!


今更説明が要らないバケモノマンガ。

「SLUM DUNK」
累計1億2000万部以上。誰に聞いても名作と言われたり、一番好きなマンガだったりと、今年の6月で連載終了19年を迎えるオンリーワンマンガです。安西先生の言葉だったり、直接のファンでない人にとっても忘れられない作品となっています。

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↑これ、この言葉ですよ!!




で、今回のそのオバケマンガを取り上げるにあたってメインに据えたいのは
バスケットボール

であります。


このスラムダンクの登場人物のモデルとなる人がいるのでは?と連載当時からよく言われてきました。これは作者も公式非公式ながらも、折に触れて語っていたり語らなかったりと完全なオフィシャルではないのです。確かにオフィシャルにしてしまったら、実在の選手との「関係」がややこしくなるのはわかります。
で、今回、脇役陣も含めてモデルを探そうじゃないかという長年の「やってみたい」をかなえる企画です。


まずは
桜木花道
(湘北#10フォワード 189.2cm)



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言わずと知れた主人公。類まれなジャンプ力でリバウンドをがっさらい、湘北躍進の原動力の一翼を担った。こういった面から彼のモデルはNBAの7年連続リバウンド王のあの方・・デニス・ロッドマンというのが有力です。


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ですが、この説は井上雄彦先生には「否定」されているんです。理由は時系列。桜木花道のほうが「赤髪」するのが早く、ロッドマンが赤く染めたのはシカゴブルズに移籍した1995年夏なのです。
95年といえば、インターハイも佳境で、山王戦に突入しかけのころ。たしかに薄いかも・・・・。


ですが、そのヘアスタイルとモデルのロッドマンが直接かかわっていなかったらと考えるどうでしょうか?
まずは1巻目。桜木花道は赤髪にリーゼントといった不良の古典的な象徴でした。これは作品の根幹が、不良がひょんなことでバスケにのめりこむというものだったからです。それが証拠に、ど派手なダンクからスタートしたものの、入部後は地道な基礎練習の毎日でした。そう、そんなに甘くないということです。初心者が這い上がっていくという図式としての花道の存在。これはこの漫画に大きな要素としてその後もかかわっていきます。それ故に、赤髪はこの際除外して考えたいです。
そして迎えた陵南との練習試合。経験者であり、県内の有力選手である主将・赤木とスーパールーキー流川の活躍で、五分の試合展開。点取り屋流川とチームの柱赤木ときてチームに足りないものは何か?

ディフェンス!!!!


この最初の陵南戦の連載時の1991年は、NBAではそれまでのオフェンス主体のトレンドから、バッドボーイズと言われたデトロイト・ピストンズのガチガチのディフェンス主体のトレンドへと移行しており、華麗なオフェンス主体のロサンゼルスレイカーズファンである井上雄彦先生からすれば鮮烈な印象だったと思われます。


そのバッドボーイズの末の弟みたいな存在で、誰よりも地道で、誰よりもダーティーワーク(権化のようなビル・レインビアというのもいたので、ナンバーワンではなかったが・・)を好むデニス・ロッドマンも当時の中心選手だったのです。


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この写真だけ見たら花道のモデルとは決して思えなくなるのも無理はありません。のちのロッドマンとは明らかに違います。ビジュアルは普通すぎる選手です。


この当時に井上雄彦先生が花道に託したかったことは、ディフェンスにはスランプがないということだったのではないでしょうか?
一生懸命やる姿は美しいということだけでなく、花道には不細工ながらも、熱い意志とひたむきさを求めていたんだと思います。
ジャンプの理念「努力、友情、成功」といったものだけでなく、人の心を熱く動かすプレイの素晴らしさを、当時のNBAの試合を多く観ることによって、井上雄彦先生は無意識に描き始めていたのかもしれません。

リバウンドとディフェンス。バスケットの基本であり、そのひたむきさは今でもファンの尊敬の中心です。私も未だに昔のビデオを見て涙が止まらないのは、ロッドマンがボールを追いかけてコート外にダイブする姿・・・・・。あれ?そんなシーンなかったですっけ?


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そして決定的なのはロッドマンが最優秀守備選手のタイトルを初受賞した時のインタビューの時です。1990年。それまでバスケ選手として華やかな経歴もなく、華麗な得点力もなかった彼に「守備」でタイトルが授与されたのです。バスケで学生時代スター選手でなく、それでもバスケがしたいから短大に通い、空港の荷物係の仕事をしながらチャンスをうかがった苦労人。初めて認められた栄誉は「守備」だった。彼はインタビュー時に人目をはばからず泣いた。

「この賞が本当に欲しかった」と



このインタビューやエピソードを知れば、井上雄彦先生が心震えないわけがないと思います。相手の嫌がるディフェンスをして、相手が怒って、ロッドマンの喉に肘を突き刺し(非常に危険なラフプレー)、それでも倒れずに相手をディフェンスし、さらに突き倒してロッドマンがファウルをもらったときに、天に高く拳を突き上げ喜ぶ姿は花道そのものともいえます。


いかがでしたでしょうか?井上雄彦先生が似ているかも?と言っていたのはこの方

サー、チャールズ・バークレー

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彼でしたが、確かに似ていないところがないわけではないです。ジャンプの最高点に達するまでのスピード。これはよく似ています。しかし、ロッドマンのほうが共通点が多いですし、ロッドマンの歩みやプレースタイルのほうが花道の歩みとオーバーラップするところが多いです。
そう、彼ら二人には花があるということです。


これからも折を見つけて、スラムダンクネタを追ってみたいと思います。お楽しみに。まずは、仙道あたりでいってみますか。
by manga_do | 2015-05-17 00:00 | 日曜マンガ博物館 | Comments(0)

日曜マンガ博物館(30)マンガの値段

日曜マンガ博物館
第30回



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マンガの値段


今発売されているマンガで一番安いマンガは何?

昔はもっと安かったよなー

これからもっと高くなるの?



普段買っているマンガの値段というのは、買う方も売る方も作る方も一番シビアに感じるところです。値段が上がったて売れなくなることもしばしば。今回はマンガの値段にまつわるお話です。

まず、最近高くなったな~とお嘆きの方。どんどん高くなっているのは事実です。しかし、物価上昇とともにというのは致し方ないですし、なんといっても上昇率という点ではそれほど上昇していない優良商品でもあります。では、昔からやっているマンガで検証できるのでは?ということになりますが、残念ながら現在も刊行中のマンガで昔からの価格でやっているのは少なく、「こち亀」なども現在の価格「420円」に全て改められています。しかしそんな中、その変遷がわかる「地層」のようなマンガがあります。

「名探偵コナン」です。

このマンガは、1994年6月に発売されているのですが、その時の1巻目の値段は「390円」
その後、95年に400円になり、消費税が5%になった時に410円になり、そこからずっと410円時代が続き、紙などの原材料の価格高騰を受けて2008年4月に420円になり、その後2010年5月に現在の440円になったという次第です。

18年間で50円の価格上昇を高いと見るか妥当と見るか。ちなみに、上昇率で言えば12%の上昇です。
他のマンガも似たような価格変動で、現在の少年誌系なら420円から440円に落ち着いています。


そんな価格の時代にあって、アウトローというか、逆に安くしてやろうという動きがあるのも確かです。それは2011年3月に発売された
「もやしもん 10巻限定版」です。

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価格は驚愕の「300円」

作者の意向で「限定版なのだから、日頃の感謝を込めたい」ということで、この価格になったのですが、カバーもないペーパーバックスタイルとはいえ、この価格は限定版だからできることですね。ちなみにこの限定版は現在作られていないのですが、何故かアセンスアメリカ村店に1冊だけ残っています。2ヶ月前にひょっこり入ってきたんですね。興味のある方は1番安いマンガを見に来てくださいませ。
このもやしもんがコンビニなどで発売されている廉価版を除いて、新刊マンガでは一番安いマンガです。


面白い値段のつけ方をしているのは「イーストプレス」という出版社です。

「失踪日記」やまんがで読破シリーズを手がける出版社なのですが、
999円
を多用していて、事情を知らない人からしたら「ラッキー」とか思ったりするんですが、お釣りがめんどくさかったりとこれはこれでほっこりです。

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次にこれからのマンガの価格はどうなるのでしょうか?

それを紐解く上で欠かせないキーワードがあります。それは
「消費税」

2014年4月に8%に引き上げられることが決まりましたが、この前後にまた価格変更があるのではと予想しています。この時期に440円は460円に、420円は440円に引き上げられるのではないでしょうか?その後10%となると、更に10~20円の引き上げがあり、最終的に少年誌系コミックは、450~480円になるのではと予想されます。2冊で1,000円を超えないようにしてくるでしょうから、このへんが限界でしょうね。

マンガはいっぱい買いたいし、読みたいです。そのためにもいつまでも気軽に買える値段にしておいて欲しいものですね。


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by manga_do | 2012-10-14 00:00 | 日曜マンガ博物館 | Comments(0)

日曜マンガ博物館(29)鳥山明のメカデザイン

日曜マンガ博物館
第29回



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鳥山明のメカデザイン


「ドラゴンボール」「Dr.スランプ」など今更説明の余地がないこの方、鳥山明が今回のメインテーマです。

鳥山明の面白さとかの議論はいまさらする必要がないのですが、私はこの方の作品でいつも気になるのが「メカ」です。
秀麗な描き方をするメカやかなりのデフォルメが入ったメカや何かをベースに作っているのだけど、ベースより格好良かったり、可愛くなっていたりなどなど。

今回はそんな鳥山明の「メカデザイン」にこだわってみます。
元々、鳥山明はミリタリーや車などに造詣が深く、それを彼らしくあの愛らしいキャラ達と混ぜて描いているというギャップが独自の世界や格好良さを演出しているのだと思います。

今回のメインで使っているアラレちゃんとキャラメルマン4号ことオボッチャマンくんが乗っているのは、ナチスドイツ時代の「ケッテンクラート」という前がバイクで後ろがキャタピラという乗り物です。悪路でも進めるバイクという位置づけでした。が、実際は操作が難しくキャタピラで動く小さな戦車を、バイクのハンドルで操作するというものでした。でも、その愛らしい格好に日本だけでなく世界中にファンがいる「逸品」です。そんなものを登場させるところも鳥山流ではないでしょうか。



彼のメカ作画にはいくつかの特徴があります。①デフォルメ、②リアリティー、③パロディー、④オリジナルの4つに分けられます。

ここではその4つに迫りたいと思います。
まずは

①デフォルメ

これはよく出てくる画で、実際の戦闘機をずんぐりむっくりにしたり、ありあえないペイントにしたり、擬人化したりなどです。




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これはかなり初期、アラレちゃんで初めてくらいに書かれたメカカットで、アラレちゃんが2頭身キャラでなかったり、作者自身のキャラが「鳥」だったりとかなり初期の頃です。写っている戦闘機は「P-51マスタング」で、第二次世界大戦のアメリカでの絶対的エース機でした。その運動性能や信頼性は今でも伝説です。でも、そんな先鋭的なところを一切感じさせないこの描かれ方、しかも、マスタングという名前は「野生化した馬」という意味があって、だから戦闘機を馬として扱っているというのは、当時20代前半の若者漫画家の所業とは到底思えない「すごさ」です。



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これも面白いカットですね。フィアットの「panda」というコンパクトカーなのですが、助手席にパンダがのっていたりして・・。



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アラレちゃんの最初の方に出てきた、いろんなものに化けて人を脅かすドンベが遠くに逃げる時に飛行機に変身したのですが、化けたのが世界で初めて実用的に飛行したロケットエンジン戦闘機「Me-163コメート」というのはいろんな意味で面白いです。コメート(彗星)の名前とは裏腹に「最初」にはつきもののいつ爆発するかわからない危険な戦闘機として、利より害の方が多かった悲劇の戦闘機です。そこに目をつけたのはやはりこのフォルムがその悲劇的なところを打ち消してくれるからではないでしょうか。



②リアリティー

そのメカの造詣の深さから、リアリティーは漫画随一と言っても過言ではないでしょうか。



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アラレちゃんをギャングに見立てたカットなのですが、持っているサブマシンガンが「H&K MP5K」という連載当時の1980年代初頭では最新鋭の銃で、昔ながらのギャングのスタイルでありながら、持っている銃は最新鋭という鳥山明ならではのギミックの効かせ方だと思います。



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なんとも牧歌的な風景でしょうか。第2次世界大戦中に戦車、飛行機問わずに数多くの敵を餌食にしてきた
「8.8 cm FlaK 36」という高射砲です。その死神のような出で立ちに我らがアラレちゃん一行がブランコにしている、何ともニンマリな絵ですね。呆気にとられている兵士さんたちも鳥山テイスト満載な表情です。

そして、この元ネタの写真はこちらではないでしょうか?

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タミヤのプラモデルで発売していたこの高射砲、ロングセラーでまだ発売しているというから驚きです。飛行機や戦車といったメカメカしているものより、こういう「現場」的なプラモデルが好き!っていうのは全く同感です。「プラモは現場っしょ!」て思う人がたくさんいて嬉しいですね。

そんな鳥山明のプラモ熱の結実が、1986年の第14回人形改造コンテスト金賞受賞という快挙ではないでしょうか。このコンテストは田宮模型が主催する、タミヤの35分の1のミリタリーフィギュアを改造するというものなのですが、原型をはるかに超える造形で、数々の作品を彼自身応募しています。銅賞なども受賞したりして、造形でも非凡な才能を発揮しています。写真は金賞を取った作品「ハイヨ~シルバー」です。凄すぎます。

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③パロディー

パロディーは彼が最も得意とするところではないでしょうか?「描いてみた」というより、作品の中にシレ~と混ぜてみたというのが正しいのではないでしょうか。さらに、その混ぜ方だったり、描かれ方に彼自身のギャグギミックがたくさん詰まっていて、格好よさをさらに際立たせています。


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これは何の変哲もない「MINI」なのですが、ナンバープレートに注目。「R2-3PO」となっています。当時、彼の創作に多大な影響を与えた「スターウォーズ」の登場人物「R2-D2」「C-3PO」の名前をとっています。他にもスターウォーズが影響を与えているのは、
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これはマシリト博士の工房兼秘密基地なのですが、前述の「R2-D2」の頭でできています。あれが基地に見えるとは・・適当か狙いか。違和感なく見ていた私みたいな人もいるでしょうしね。あと、他にも

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これは「缶蹴り大会」でのひとコマ。アラレちゃんがちょこんと蹴った缶が遥か彼方へ飛んでいった時に取りに行った千兵衛さんの乗り物ですが、また「R2-D2」のD2の文字が・・。しかも、「speed」とかかっている徹底ぶり。週刊連載で締切に追われているはずなのに、それをきっちり楽しんでいますね。さらに端のパンダが可愛い。あとこんなのも。

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どんだけスターウォーズ好きやねんって言ってしまいますね。


パロディーと言えば、今となってはかなり貴重なカットがこちら。

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アラレちゃんとガッちゃんがペンギン村を疾走するというのについてきた面々のなかに「シャアザク」が混ざっています。鳥山明が描くガンダム、しかもシャアザク。しかも、かなりフォルムが格好いい。もはやオリジナルとも言えますね。

ガンダムを始めとするメカものアニメにも大きな影響を受け、それを取り込んだメカも出ています。

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当時のメカものアニメは彼のギャグマンガには先鋭すぎるのですが、彼はそれをうまく「いなして」取り込んでいます。2枚目の「リブギコ」はモビルスーツテイストなのですが、武器が殺虫剤だったり、名前がゴキブリを逆に読んだり、操縦しているのがホイ・クエンだったりとかなりホッコリしてしまいます。



④オリジナル

ここがよく見る部分だと思うのですが、鳥山明は先鋭的なオリジナルキャラやメカデザインではなく、日常の決して暴力的でないものが悪者だったり、悪の権化のようなものが逆に平和的だったりとごくごく自然体なデザインが特徴です。例えば千兵衛さんちの電話は昔の電話のスタイルをしていますが、「千兵衛電話だぞ~」と叫んでくれたり、この写真のように蛇口が象さんになっていたり、

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あと、かなりの合理主義者なところもデザインから読み取れます。アカネちゃんの家は喫茶店。それ自体がポッドになっている。銀行は金庫、タバコ屋は

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何かタバコ屋や銀行は世の中にある既存のデザインだというもっともらしいのが嫌なんでしょうね。それよかペンギン村なんだから全部こういう家や建物なの!という徹底ぶりは後のドラゴンボールの世界観の広がりに活きていると思います。


かと言って、先鋭的なものが少ないわけではありません。ドラゴンボールではほぼオリジナルなメカデザインで、こういうメカを描き続けることによって、彼の中のドラゴンボール世界のメカデザインが自然と統一されていったのだと思います。その断片は、このアラレちゃん世界でも垣間見えます。


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特に1枚目はその後のドラゴンボール世界ではスタンダードなデザインの原型とも言えるのではないでしょうか。



最後に鳥山明メカデザインといえば忘れてはいけないのが「キャラメルマン」です。

都合9号まで作られたこのマシリト博士が千兵衛さんとアラレちゃんを追い落とすためのロボット(一部明らかにロボットではないのが混ざっていますが・・)集団は、鳥山明作品では長期レギュラーメカですね。その中でも印象的なのは「キャラメルマン1号」です。

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この鉄人28号のようなフォルムを遠隔操作でなく中で操縦して、お腹の窓から顔が出ているというおマヌケっぷりは、何とも彼らしいデザインなのではないでしょうか。その後アラレちゃん一党に負けるたびに、進化をしていってオボッチャマくんことキャラメルマン4号で最終進化系を迎えたと思えば、5号はただの千兵衛さんのハリボテだったり、

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いつも期待をいいように裏切ってくれています。それにしても、このハリボテをキャラメルマン5号と呼ぶなんて・・・。



いかがでしたか、今回の鳥山明のメカデザインは。

鳥山明作品にいつまでも、そして当時からも魅了されるのは、彼のギミックが彼以外考えなかったことだからではないでしょうか?後々こういう風に考察は出来ても、これを白紙の原稿用紙から作り出す想像力は、これからそういう漫画家が出てくるか甚だ疑問なところもあります。このようにメカを愛し、それが日常にすぐ彼のペン先から溶け出す。これこそが本当の魅力なのではないでしょうか?そして、もっとびっくりする話があります。
「鳥山明はあまり作画用の資料を持っていない」
インタビューで語っていたお話です。こんなにいっぱいのデザインを一度や二度見ただけで描ける、いや取り込める。本当にあなたにはかないませんよ。
by manga_do | 2012-10-07 00:00 | 日曜マンガ博物館 | Comments(0)

日曜マンガ博物館(28)横山光輝と史記と故事成語②

日曜マンガ博物館
第28回



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横山光輝と史記と故事成語②


先週に引き続き、横山光輝画の現代に生きる史記の故事を送ります。


③刎頚の友

戦国時代後期、趙という国に藺相如(りんしょうじょ)という大臣がいました。彼は有能な才覚の持ち主で、短期間で大臣まで登り詰め、国の柱石とまで言われる存在になりました。しかし、そのあまりにも早すぎる出世から妬みも多く、その急先鋒は国随一の猛将であり、功臣であった廉頗(れんぱ)将軍でした。彼はことあるごとに藺相如を非難し、藺相如自身もそのことを知って廉頗を避けるようになりました。その避け方も廉頗の家の前を通らなかったりと徹底していました。藺相如の家来はその主人の情けない行動に呆れて、主人に何故かと問いました。そこで帰ってきた言葉は意外なものでした。自分が妬まれていて、そのことで武の功臣である廉頗将軍と争えば、利するのは周辺の敵国であり、国の乱れになる。だから自分はあえて廉頗を避けたのだと。この話は流れ流れて廉頗の耳に入る。彼は藺相如の意図を即座に汲み取り、かつ自らの不明を嘆いた。ある日廉頗は藺相如を訪ね、自らを罰するためにイバラのムチで叩いて欲しいと頼みにいきます。この行動に藺相如は感動し、廉頗に首をはねられても悔いはなしと言い、廉頗も同じく藺相如に首をはねられても悔いはないと宣言するのです。


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このお話、互いの友情が深まったという話だけでなく、小事にとらわれると大事を見過ごしてしまうということを教えてくれています。内部の争いは敵を利するだけでなく、国を大いに乱れさせます。逆に国の柱石である二人が刎頚の友となり、国のために尽くせば、周りの敵国は手を出せなくなるということです。

それが証拠にこの二人が健在だったときは、敵国は趙に攻めることができませんでした。しかし、二人が老齢となって死んだり、国を離れてしまうと、趙国は滅亡の道を歩み出すのでした。



④奇貨居くべし

直接的な意味は「とても価値のあるもので買っておこう」ということになります。物事、商品の価値に対して先見の明があるというときに使われます。え、そんなん使ったことないって?いやいや、新しもの好きのあなたが何かよくわからない物を買う時にこの言葉「奇貨居くべし」と言ってみるのはどうでしょうか?

由来なのですが、先ほどの刎頚の友とほぼ同時期の、しかも同じ趙の国での出来事です。当時、各国は領地や覇権争いで幾つもの戦争、争いを続けていました。しかし、ずっとしているわけもいかず、戦争を終結し、かつこの先戦争をしないために互いの王族、有力者を他国に人質に出し、一時の平和を保っていたのです。当時の王は数多くの妻妾を迎え、自分でも把握できないくらいの子供を抱えていました。

当時、大国にのし上がっていた秦も例外ではありませんでした。趙との戦争を止めるために和睦し、その条件として王族としてはかなり下の方の王の子供・子楚(しそ)を人質として趙に差し出していました。人質という身分、一度戦争が起こると、真っ先に殺されるかなり損な役回りで、本国秦も彼がいるから戦争を止めるといった悠長なこともなく、自分たちの覇権のためには躊躇なく攻め込んだりするかもしれませんでした。さらに敵国の王の子供であっても、敵国趙では歓迎されることもなく、むしろ小競り合いの度に趙の住民からは石を投げられる始末でした。そんな子楚に目をつけたのは当時この辺で巨万の富を得ていた商人・呂不韋(りょふい)でした。彼は子楚が大国秦の王子であるというところに目を付け、こうつぶやきます「奇貨居くべし」と。彼は一族を上げて子楚をバックアップします。自分の愛妾を子楚の妻に差し出し(この2人の間に生まれた子供が後の始皇帝・政なのです)、趙の国の社交界に子楚をデヴューさせ、その様子を本国・秦の有力者に喧伝するなど。そしてその効果で子楚は一躍秦の後継争いのトップに躍り出ます。ここまでに呂不韋の使った金額はそれまでの巨万の富のほぼ全てだったといいます。


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そののち王が死に、子楚は悠々と祖国に凱旋を果たします、跡継ぎのトップ「太子」として。その後、子楚は王に即位し、呂不韋はその功で「丞相」(今でいうと総理大臣みたいなもの)に上り詰めます。誰からも見向きもされず、命すら粗末に扱われた子楚に賭けた、呂不韋にとってはまさに子楚は奇貨でした。

この説明だけではない、もっと困難で、幾多の障害があったでしょうが、呂不韋はあえて人生全てをを賭けました。こんなでっかい、生き死に関わる賭けを打って、そして勝った男はいないのではないでしょうか?一介の商人が丞相になる。自分の一生で一回でもいいので、奇貨居くべしという時に出会えたらいいと思いますね。



⑤四面楚歌

最後は四面楚歌です。これはよく・・よくではなくても聞いたことがあるフレーズだと思います。周りが敵だらけ、万事休すといったときだったり、オヤジギャグが通じなかって周りから白眼視された時に「こりゃ、四面楚歌やな」といった具合にです。最近の言い回しでは「ここ、アウェイやな」という言葉が現代では近いのではないでしょうか?

そんな四面楚歌、その由来には哀しくもあり、人間の本来備わっている故郷愛が滲み出る由来となっています。

時代は秦の始皇帝が死に、再び動乱の世界に戻って、「漢」と「楚」が覇権を争い、中国を二分していた時のお話です。有能な家臣に恵まれた「漢」は、当代きっての英雄項羽が王の「楚」をあともう一歩で滅亡させるぐらいまでところまで来ていました。そんな楚軍は負けが込み、守るべき自分たちの領土もあと少しとなり、漢軍に四方を囲まれてしまいました。楚兵はわずか数千にまでうち減らされていました。対する漢軍は20万を超える大軍。しかし、楚には剛勇で鳴らす君主項羽がいました。何万という敵に囲まれていてもそれを討ち果たしてしまう突破力。このままでは時間だけが過ぎ、項羽がいつまで存命なのに漢陣営は焦りを感じ始めました。そこで一計を案じます。敵の楚兵の周りに楚の言葉の歌を歌わせる人間を多く配置しました。楚兵は周りから聞こえてくる楚の歌に大きく動揺しました。あるものは自分たちを家族が迎えに来てくれのではと喜ぶもの。あるものは祖国が無くなってしまったのではと疑惑に思うもの。あるものは祖国の兵が寝返って攻めてきたのではないかと思うもの。様々な気持ちが膨らんでいき彼ら楚兵はその夜、多くの兵士、ほぼ9割がたが逃亡してしまいました。


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漢の狙いは見事に的中してしまいました。その後項羽は少ない兵で奮闘しましたが殺されてしまいました。この四面楚歌は、人の望郷の念、猜疑心などを狙った見事な作戦でした。しかし、それ以上に、項羽の人望のなさがこの結果を招いたとも思われます。その結実としての「四面楚歌」だとも言えます。戦争が強くても、人の心までは支配することができなかった、そんなの当たり前ですが、今でも重厚に感じられる教訓がここでは生きているのではと思います。

四面楚歌は自分が招いたとでも言えるでしょうか・・。




いかがでしたか、2週にわたって横山光輝の史記をお送りしました。本来の意味と若干違うものから、もっと奥底に秘めたる意味があるものまで、様々な故事がありましたね。故事はいわば人間の知恵です。これからも、今までも、全く色褪せることのない「真理」です。自分にどう当てはまるかではなく、何を伝えようといているのか?この史記が伝えたかった本質なのではないでしょうか。歴史は勉強するための教科書でなく、人間の説明書なのかもしれませんね。
by manga_do | 2012-09-30 00:00 | 日曜マンガ博物館 | Comments(0)

日曜マンガ博物館(27)横山光輝と史記と故事成語①

日曜マンガ博物館
第27回





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横山光輝と史記と故事成語①


最近、日本語の乱れみたいなものを指摘する記事が目立ちますが、「言葉は生き物」であって、語源まで遡れば誰一人たりとも正しい用法でないわけで・・。その時代、場所で変化するものなのです。そして、ことわざや故事などのお話は時々で使われ方に変化はあっても、人間が考え、発した言葉である限り不変であります。今回はそのような故事で、とりわけファンの多い歴史書「史記」から横山光輝先生の著作「史記」(小学館文庫全11巻・各610円~680円)を使って面白がっていただきましょう。横山光輝先生の画だからこそ深く味わえる言葉もありますので。


まず史記ですが、中国前巻(紀元前3世紀~1世紀)に成立した歴史書で、編纂を司馬遷が行い、中国の神話時代から前漢までの網羅した歴史書です。特徴としては、今の年表のような「何年に誰かが何をした」という書き方でなく、当時国が乱立した中国の国々ごとの記述になっていたり、著名な人物ごとの記述だったりと、話が重複することがあっても、すごくわかりやすい方式を採用しています。

それではまず1つめ

①馬鹿

そうあのバカです。一般的には馬と鹿を見間違えるといった語源のように使われていますが、本当は恐ろしい語源が隠されています。中国を初めて統一した秦の始皇帝は、49歳で亡くなり、跡を次男・胡亥が継ぎます。しかし、この胡亥、偉大すぎる父とは違い政治に関心がなく日々酒と女(いわゆる酒池肉林)に溺れ、政治を宦官・趙高に任せっきりになっていたのです。その趙高は皇帝のように振る舞い、楯突く人間や存在をむごたらし拷問などで粛清していったのです。まだ、口に出して異を唱えるならまだしも、心の奥底に反趙高の思いを持たれたら厄介と考えた趙高はある日会議の場に「鹿」を連れてきました。そして会議に参列している者に言いました「これは馬である」と。参列者はコイツは何を言ってるんだとばかりに、あるものは「鹿だ!」と言い、あるものは「う、馬・・ですね」と言う。後日、趙高は鹿と答えた者を全て処刑してしまいました、家族、親戚も含めて・・。

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現在の使われ方と違いますが、正直者が馬鹿を見るという言葉に語源が意外と近いというのも面白い話ですね。鹿を馬と答えた人は後世的には馬鹿ですが、鹿と言い放った人は殺されてしまったので、そういう問いは正直勘弁してもらいたいものです。




②背水の陣

これもよく言う言葉ですね、もうあとがない、最後のチャンスといった時に使いますね。語源は先ほどの「馬鹿」と近い時代、紀元前204年楚漢戦争の一環として起きた「井陘の戦い」での一コマです。漢の大元帥・韓信は「国士無双」と言われる用兵家で、無敗と常勝を誇る名将でした。そして辺境の趙国を攻めることになったのですが、主君の劉邦に援軍を送るように命令され、自分の手足として無敗と常勝を誇る軍団を取り上げられてしまいます。戦前は戦力差で韓信は有利だったのに、このことがあり趙国20万対韓信3万という6倍以上の戦力差での合戦となりました。そこでその戦力差を埋めるべく韓信は一計を案じます。自分の部隊3万を河を背に布陣させ、後ろに河、前に20万の兵とあえてかなり不利な状況に追い込んで戦争を始めました。3万の兵は死に物狂いで戦い、20万の敵を破るという快挙を達成しました。もう死にかもしれないという決死の覚悟が優ったとされていますが、実は3万が河を背に布陣ということは敵も知っていて、敵方が油断して正面攻撃のみをしてきて、伏兵などの罠を仕掛けていたため総崩れになったということです。しかも、韓信は別働隊を派遣し、敵の本城を奪っていたのです。

このように、必死さで耐え忍び、策を用いて大逆転する。今使われている必死さだけでは玉砕してしまうので、勝つ算段をしてことに望む、そうでなくては勝利を得られない。本当に現代にも、いやこれからも真理であり続ける話です。


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この企画面白くなってきたので、来週は第2弾を引き続きお送りいたします。来週は「刎頚の友」と「奇貨居くべし」と「四面楚歌」です。お楽しみに。
by manga_do | 2012-09-23 00:00 | 日曜マンガ博物館 | Comments(0)

日曜マンガ博物館(26)We Love のび太!

日曜マンガ博物館
第26回



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We Love のび太!



ドラえもん生誕「100年前」に沸く2012年。誰もが好きなドラえもんが、もしかしたら100年後に登場するかもと考えるだけでワクワクしますね。そんなドラえもんの誕生日は皆さんご存知のとおり9月3日ですね。では、のび太は?

8月7日なんです。

意外と知られていないですよね。そして、しし座のA型なんですね。

真の主人公がのび太、いやダブル主人公、のび太を中心にお話が回っているなど、今日は野比のび太10歳に焦点を当てていって、「本当は偉人かも、いや違うかも?」でお送りします。


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①「ダメっ子、のび太」

のび太はとかく「ダメ」という言葉がつきまといます。勉強も、運動も、何をさせてもダメで、そのダメっぷりは凄いの一言です。

テストで0点を取ることはもはや代名詞的な「風物詩」になってきていますが、たまに0点以外、点数がある答案を持ってくることがあります。そんな時にのび太が言ったセリフ

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う~ん、最近0点のほうが少なくて、「点数をとった」のが続いたからいいという理屈。「点数をとった」というのがいかにも彼らしいです。確かに、進歩かも・・いや違いますね。

他にも、しずちゃんに雪山登山を誘われたのに「平坦な山なら登る」とか、スネ夫に大見得を切って「うそだったら鼻でスパゲッティを食べてやる」となんの威嚇にも決意にもなっていないことを言ったりと今そんな子供がいれば大問題必死の言動と行動です。

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他にも運動音痴であることは有名ですが、空き地でいつも試合をしているのび太も所属する「ジャイアンズ」では更にそのダメっぷりが際立ちます。その一コマがこちら

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「一分です」彼のジャイアンズでの打率は何と一分、すなわち1%なのです。100回打席に立って1回しか打てない。その1回は逆に何なのか、とても気になります。



②意外な特技

こんなダメっぷりですが、彼には「あやとり」と「射撃」という特技があります。あやとりは自分のオリジナル名を付けるぐらいの達人ぶりで、「おどるチョウ」「ほうき星」「ギャラクシー」とネーミングもなんか自信たっぷりな壮大なネーミングなのです。そして、あやとりでの夢は「大仏にあやとりをさせる」。何かわからないですが、ビッグっぷりをあやとりで出していますね。

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そんなあやとりですが、はまった、あやとりをやり始めた理由がいかにも彼らしい。
「金もかからず、くたびれず、腹の減らない遊び」だからだそうです。

「射撃」は大長編もの、いわゆる映画での活躍でよく出てきます。いわばのび太の真骨頂な部分ですが、実はドラえもんに1度射撃で負けているんです。「ツモリガン」という撃たれた人間が「~つもり」といった具合の幻覚を見せる道具だったのですが、ドラえもんと「どら焼き」を賭けて早撃ちをしたのですが、ドラえもんのほうがどら焼き欲が強く、なんと負けてしまうという番狂わせを演じてしまったのです。やはり映画用なのでしょうかね。

次は「睡眠」。とにかく寝つきがいい、昼寝という分野では世界記録も持っているぐらいです。

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寝るために枕を空中に投げて、枕が地面に着地したと同時に眠りに入る。こんな芸当は彼だけでしょうね。


最後の特技は、「鼻くそ」です。彼はヒマなときに鼻をほじっています。あるときヒマ過ぎたのか、鼻くそでダーツしていたぐらいです。鼻くそを机に並べたり、「あと一粒で1ダース」なんておバカなことも平気でしています。


③もしかして、偉人?

彼はドラえもんにおんぶに抱っこで、彼の道具、彼の存在なくしてはもうどうにもならない小学4年生なのですが、時折、天才的なヒラメキを見せる時があります。

両さんかなと思えるほど、柔軟な発想でドラえもんの道具をお金儲けに利用したり、ドラえもんも考えつかない使い方をしたりすることがあります。もちろん、どうしてもその先は「過度」になって、ドラえもんに泣きつくんですがね・・。
彼の意外な発想の柔らかさは、固定観念をひっくり返すというところ=屁理屈にも現れています。

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他にも、頭が柔らかすぎて、学校の成績ではこの人物は測れないのでは?と思う時があります。

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「穴のあいたグラスは何も飲みたくないときに使う」

こりゃ大物になるかもしれない?そんなふうに思えてきますね。それが証拠に、皆さん憶えていますか?1巻目の1話を。

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就職できなくて自分で会社を起こすという、現代人でもやったこと無いことをやってしまっていた発想力。結局火事で燃えてしまいましたが、そのキラリと光る発想力は「起業」という形で結実していたんですね。


いかがでしたでしょうか?みんなの大好きなのび太はやはり「のび太」でしたね。彼の結果、何者にも混ざらない「唯一」な行動と思想はドラえもん世界ではある種異質ですが、それこそがドラえもんを大いに面白くして、大いに掻き回してくれる存在なのかもしれませんね。彼あってのドラえもん。彼が主導する世界。その結果としての未来から来たネコ型ロボット「ドラえもん」なのかもしれませんね。

全くパラレルな世界でドラえもん抜きの「のび太」ってマンガがあったら面白かったんじゃないでしょうか?なんてったって彼ですもんね。


最後にのび太が本当に愛してやまぬしずちゃんに一言いただきましょうか?

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あら仲良し。
by manga_do | 2012-09-16 00:00 | 日曜マンガ博物館 | Comments(0)

日曜マンガ博物館(25)課長弘兼憲史の黄昏の議

日曜マンガ博物館
第25回



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課長弘兼憲史の黄昏の議


「島耕作シリーズ」「黄昏流星群」「人間交差点」「加治隆介の議」など幅広いジャンルで話題作、問題作を描き続けている、作者弘兼憲史。今日、9/9は氏の65回目の誕生日にあたります。おめでとうございます!
今回の日曜マンガ博物館はその弘兼憲史を取り上げます。


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どこかのコンサルタント、いや大学教授?そんな印象から一切漫画家に見えない。これも作品に大いに関わって来ることになります。

松下電器で実際3年間サラリーマン経験をして、その経験が「課長島耕作」のお話に大いに生かされるようにになったというのは有名な話。課長から始まって、部長、取締役と駆け上がり、遂には社長にまで上り詰めるというお話です。課長の前の時代も描いたものも含めると71巻(現在も連載中)にもなり、団塊の世代を1人の男の半生を通して描くという一大叙事詩です。

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このシリーズの最大の特徴は
「あるある、わかるわ~」です。

サラリーマンをしていく上で、やらなくてはならないこと、越えなければならない壁、出生、妬み、派閥、恋愛、家族、自分・・。それらが全て詰まっていて、それでいて尚且つ彼は成功を収めます。だって、社長になったんだもんね。

それと社会情勢、経済状況にリンクしているということ。景気が悪くなれば、会社の立て直しに没頭する、中国進出を果たし、震災時は企業としての取り組みを描く。といった具合に、その時々に企業や社会人、島耕作はどうあるべきかということを正確に描いている。これも氏の洞察というか、島耕作ならどうするだろうかという、島耕作像がしっかりできている証拠です。

モテるのはリアルに嫉妬ですが。




次は「黄昏流星群」。大人の恋愛をこれもリアルに描いた問題作です。短編ということになっていて、長くても10話ぐらい、平均4,5話で完結するというストーリー群です。コミックはそんな短編集ながら42巻まで発行されていて、これまたストーリーものでないのに大長寿作品です。

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大人の恋愛というのは今までも多く描かれていましたが、島耕作同様、時代の鏡というか世相を反映させた設定、そして、リアルすぎる大人の性描写。これがこの作品最大の魅力です。すごく短いお話なので、すぐ恋に落ちたり、完結を迎えたりと目まぐるしさはありますが、大人だって恋をする、大人の恋の素晴らしさ、人間賛歌といった、いつもいつも考えさせられるテーマになっています。

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弘兼憲史が熟女好きという実しやかな情報を聞いてから、なんかすごい納得をして読めるようになりました。これも弘兼ワールドか・・と。ビックコミックオリジナルで連載を読んでいるのですが、現在連載中の「黄昏流星群」に80歳の女性が出てきます。弘兼氏は今日で65歳。彼の言う熟女は「年上の女性」ということになります。ということは・・80歳の女性・・。複雑です。



最後に「加治隆介の議」です。これは政治マンガです。サラリーマンの加治隆介が急死した衆議院議員の地盤を引き継ぎ、衆議院議員に当選し、永田町の魑魅魍魎に翻弄されながら、総理大臣を目指すというお話です。

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これもかなり正確に政治を「キレイ」に描いていて、ここまでリアルに漫画で描けるのか?と実は現役政治家にこそファンが多いという作品です。汚い部分、リアルな部分、こういう政治家になってみたいという部分。理想の上司が島耕作であるように、理想の政治家は加治隆介なのでしょうね。今後こういう政治家が登場することを願います。

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何か預言者のような方ですが、実は今の情勢、いわば今流れている風をうまく自分の言葉や自分の絵で語ることにすごく長けている方なのだなというのは感じます。そうなんです、それこそが漫画家の想像力の源であり、表現するということなのでしょうね。今後は彼を超える弁士であり、絵師であり、表現者が現れることを切に望みます。
by manga_do | 2012-09-09 00:00 | 日曜マンガ博物館 | Comments(0)

日曜マンガ博物館(24)怖イ、コワスギルマンガ

日曜マンガ博物館
第24回


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怖イ、コワスギルマンガ



まず一言、怖い。今回の企画怖すぎます。怖いのが嫌いな私にとって、9月になったから怖い漫画を紹介できるという的はずれな考えで進めてみたのですが、どう考えても怖いです。

昔から怖い漫画というのはありますが、最近のはそう言いうのに慣れた、平気だという方を脅かすためにかなりの過激な怖さになっています。で、その昔の怖いのってのを極力排除した時に、こんな怖い漫画ばかりが残るのも必然・・・・・やっぱり怖いです。

怖い漫画といえば色々思い浮かんだり、作家の名前を出したとしても多くの作家を挙げることができます。その中でも「伊藤潤二」は誰しもが知るビックネームです。怖い画というより、世界観もひっくるめたおどろおどろしさ、単純に人物が喋っているのに怖く描かせるのはこの怖い漫画界では欠かせない現役プレーヤーです。

彼の2010年の作品に「怪、刺す」(小学館・900円)というのがあります。「新耳袋」の怪異蒐集家、木原浩勝が文を書き、伊藤潤二が挿絵を描いているという異色作です。

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そして、やはり怖いです。文字でかなり揺らされているのに、そこに来てこの挿絵。この感じで本出されたらたまりません。1文字たりとも安息がありません。

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次は筒井哲也の「マンホール」(スクウェアエニックス・現在半絶版状態)。突如街に現れた変死体と謎の寄生虫。翌日交通事故にあって体が吹き飛んだ死体からも謎の寄生虫。この2つの接点に、ある奇妙なマンホールがい浮かび上がる。バイオホラーとも言うべき作品です。しかも、怖すぎたのか、グロ過ぎたのか、2009年に長崎県において第1巻が県少年保護育成条例に基づく有害図書類に指定されるといういわくつき。ホラーが有害図書になるなんて・・。それほど怖いっていう証です。

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どんどんヒートアップしてきましたね。次は「不安の種」(中山昌亮・秋田書店・全6巻)です。これ本当に怖いです。本当にあった事例を紹介するふうに構成されているのですが、後ろの方に「8割フィクション」と書いています。ナンダ、8割も嘘なのか・・・・・・・・げ、2割本当なの!てな具合になります。1話2~6ページほどのショートストーリーの連続なのですが、怖い話って普通の漫画のように場面説明、人物紹介が要らないってのも怖いですね。2ページでも充分怖いです。

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最近も最近、8/6に発売されたホラー漫画界の巨匠、高港基資が誘う「恐之本」(少年画報社・650円)

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これは怖い。さっきから怖いしか言ってませんが、本当に怖いです。劇画タッチの中に更なるリアリティの恐怖の罠が待っているそんなところでしょうか。ちょっとシュールな部分や怨念がメインになっていますが、一度見たら忘れられませんよ、ほらそこに・・。

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いかがでしたでしょうか?怖い!はあ、キレイに叫べましたね。それでは、皆様良い眠りを。そして、決して今日紹介した本たちを読まないでくださいね。ヒヒヒヒ~。
by manga_do | 2012-09-02 00:00 | 日曜マンガ博物館 | Comments(0)

日曜マンガ博物館(23)あのキャラ達のゲームって!

日曜マンガ博物館
第23回


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あのキャラ達のゲームって!


8/21にダウンロード専用ゲームとして「ジョジョの奇妙な冒険 未来への遺産 HD Ver」が発売されます。1999年にアーケードでの対戦格闘ゲームとして誕生し、その世界観を反映したゲーム演出から結構話題となったゲームでした。今回「HD」化され、キレイになった映像で再販されることになりました。

が、このように以前のゲームを再販して欲しいと思うゲームは、ほんのひと握りで、大部分のキャラクター、特にマンガやアニメのキャラゲーは、ツッコミどころ、不満どころばかりのゲームでした。

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まずは「火の鳥鳳凰編我王の冒険」です1987年にコナミから発売され、当時同時期にやっていたアニメ映画のタイアップ作でした。主人公我王は片腕の彫師。ノミ1本で火の鳥の彫像をつくるという話だったのですが、なぜかゲームではノミを投げつけて敵を倒しています。う~ん、なぜ?

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「銀河英雄伝説」のゲームもあります。原作のストーリーとは関係なくサクサク敵艦隊を滅ぼすあらすじです。原作をむしろ知らない方が、単純にゲームとして攻略でき、尚且つボスキャラ(なんとヤン艦隊)との決戦に望めます。そして、エンディング。なんとも味気ないメッセージともに終わります。

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キャラの名前だけで、ゲームとの乖離がひどすぎたのはこれ「修羅の門」。この荒すぎるポリゴンと単調すぎるゲームシステム。しかも、BGMだけで、キャラは一切喋らず、関節にダメージを受けると一気に負けまくり、ゲームバランスが異常に悪かったです。制作会社が「講談社」となっており、やはりかの印象です。

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スラムダンクもご多分に漏れずゲーム化されています。スポーツ物なので、なんとでもできると言いたいところですが、バスケゲームとしてはあまり良いものとは言えず、名シーンをなぞっているのが特徴的です。


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最後は国民的マンガ「タッチ」。このゲーム、
一切野球をしないと言ったら驚くでしょうか?

街を徘徊してボールで色々な敵を倒していく「不思議ゲーム」なのです。制作者の意図が全く読み取れません。

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なんでこうなってしまったのか?探す楽しみが増えましたね?
by manga_do | 2012-08-19 00:00 | 日曜マンガ博物館 | Comments(0)

日曜マンガ博物館(22)ちびまる子ちゃん

日曜マンガ博物館
第22回


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ちびまる子ちゃん


ご存知『平成のサザエさん』こと、ちびまる子ちゃんの登場です。
りぼんに連載されたのが26年前、アニメの放映開始から22年経った、漫画界、アニメ界の大金字塔です。

昭和49年、静岡県清水市に住む小学三年生さくらももことさくら家、ももこの同級生たちのオモシロコメディが軸になっています。このマンガの不思議な魅力は、必ず笑って終われるということです。どんな大変なことがあっても、どんな悲しいことがあっても、最後は笑ってします。ギャグ漫画だから、じゃなくて人生だから大変なことも辛いこともたくさんあるけど、最後は笑っていようって本当に心底感じられるマンガです。

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例えば、ある日の夕食が「ふぐ鍋」だったのだが、まるちゃんは、大丈夫だと分かっていても、ふぐの毒が心配で、とくにおじいちゃんには食べて欲しくないといいます。でも、友人からもらったものだし、なにより食べたい・・。食べようと思った瞬間、まる子にそのふぐの身をとった手をはたかれてしまう。まる子は本当におじいちゃんに死んで欲しくなかったし、食べたら死ぬんじゃないかと感じたのです。

何ともいいエピソードですが、その後、まる子も毒がないことが分かって安心したので、雑炊だけ食べることにしました。雑炊だけたべた話を次の日にたまちゃんにするのですが、たまちゃんは昨日ふぐ鍋をすると聞いたのに、まるちゃんだけ雑炊・・・。「まるちゃん、本当にあの家の子だよね?」と聞かれてお話が終わる。

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何かの企画で好きなキャラランキングってのをこのちびまる子ちゃんのキャラでやっていて、その手のランキングには必ずtop10入りしているのが「長山君」。メガネの優等生といえばよくわかるのではないでしょうか。

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彼はいわゆる、出木杉くんのような立ち位置なのですが、出木杉くんのような知識、博識、良識の塊の役割だけでなく、アマチュア無線や星の観察、病弱な妹に手作りの絵本を付くてあげたりなど、リアルにいい子なのです。それでいて、その部分は誰にも言ってなかったりと、いい奴すぎるんです。そんな彼を讃えて、アニメには挿入歌として「長山君をたたえる歌」というのが存在するのです。


すばらしい少年 みんなの お手本

なんて立派なんでしょう 長山君は

気どらない性格 そのうえかしこい

なんて立派なんでしょう 長山君

いつもいつでも 感心するよ


すごい曲です。メロディにのせてきいてみたい。


長山君と若干キャラかぶりしているのが、クラスメートのとし子ちゃん。彼女も良識あふれるカワイイお嬢さんです。モデルが存在するらしく、絵本作家の土橋とし子らしいです。結構、モデルいますよね。

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最後は本名冨田太郎(え、そうなの?)、ブー太郎に締めていただきますかね。

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「ブー」
by manga_do | 2012-08-12 00:00 | 日曜マンガ博物館 | Comments(0)