YES!
①
(cocohana連載中)
(槇村さとる・集英社・440円)
<あらすじ>
入江みどり(29)は在京民放キー局の女子アナウンサーとして自信にあふれた毎日を送っていた。しかし、大好きだった伯父の死、そして看板番組からの降板という出来事を境に、仕事、プライベート、生き方に迷い始め…。(説明文より)
常に時代時代の女性を描いてきた、槇村さとるの最新刊です。
29歳でバリバリのキャリアを積んでいる女性が、ふと自分の足元、この先の自分を見つめ直した時に、「つまずいて」しまう瞬間を槇村さとるの細かなところから、俯瞰的なところ、全て一定のリズムで描き出す良書です。
この槙村さとるの描く主人公にはあまり多くの「使命」みたいなものが背負わされていない感じがします。むしろ、時折壮大、いつもは実直、といった等身大と発信する言葉がいつも出し入れされている感覚です。読者はそこに共感しつつ、引き込まれていく。そんな魔法がかかっている作家さんですね。
今回の「YES!」も二人の「みどり」が織り成す両極がいつも反作用しながら、女性の今を描いていますね。
この連載雑誌「cocohana」がそういう、全部ぶちまけた女性の今を追っていくという雑誌になっているのだと思います。いまこそ、漫画雑誌が、漫画が伝えるべきことは何なのかを表現しようとしているのかもしれません。本当に伝えるべきメッセージがはっきりしていますね。