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アメ村マンガ研究所

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日曜マンガ博物館(14)方舟

日曜マンガ博物館
第14回


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方舟

(しりあがり寿・太田出版・1,260円・2000年作品)

今日みたいな雨の日は、このマンガが良く合いますね。

雨が止まなくなった世界。最初はすぐ止むと思っていたのだが、いっこうに止む気配がない。そのうちに、床下床上浸水が始まり、人々の不安はより増すばかり。

そんな時に誰からともなく聞こえる「終末」の声。

現実に雨が止まなくなった時に考えられる事態は、パニック映画のようにはならず、しりあがり寿が描く人々の不安から起こる不毛な争いやあきらめ、妄想に繋がるのではないでしょうか?この作品は「止まぬ雨」という自然現象、そう別に起こり得ないと言い切れない自然現象が、人々の考えなくてもいい不安と考えなくてはいけないことの欠如を生んでしまいます。

それをパニックと呼ぶにはあまりにも稚拙な人々の無関心と独占欲と判断力の無さがこの漫画の中での「パニック」をより盛り上げています。

印象的なシーンが「テレビ」の取り扱われかたです。雨がやまないことに対して、「雨が止むか?」といった討論特番を組んだり、水泳選手やタレントを街で泳がせたりと、予言的な表現でなく、今も続けられている「無関心」「未解決」な手法です。いわば「動」のパニックでなく、「静」のパニックが上手く描かれています。

もしかして、この先このようなパニックが起これば、人々は「楽観的静動パニック」を起こすのでしょうか?違うと言えないのが、この本が伝えているところでないでしょうかね。
by manga_do | 2012-06-17 00:00 | 日曜マンガ博物館 | Comments(0)
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