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アメ村マンガ研究所

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日曜マンガ博物館(8)頭文字D

日曜マンガ博物館
第8回


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頭文字D

(ヤングマガジン連載中)
(しげの秀一・講談社・現在44巻まで刊行中)


1995年に連載が始まり、始まるや全国に、いや世界に「ハチロク」ブームを起こしたマンガ。その影響は、実際の車にまで及ぶものでした。

あらすじを少し。
群馬県の秋名山(架空の山。群馬県の榛名山の事と思われる)にとてつもなく速い走り屋がいると言われていたのだが、その正体は「藤原とうふ店」の高校3年生の一人息子、藤原拓海だった。家業の豆腐店の朝の配達に、愛車AE86トレノを駆使し、秋名山の峠道を使っていたのだが、早朝で眠いから早く帰ってもう少し眠るために、限界を超えすぎた超絶ドライビングテクニックを駆使して秋名の峠道を激走していたのであります。
ある日、赤城の走り屋「赤城レッドサンズ」の高橋啓介が藤原拓海の「ハチロク」を目撃し、勝負を挑むのだが、あっさり惨敗してしまう。負けたことがない高橋啓介は、その正体を確かめてみるとなんと自分より年下の高校生だった・・・。ここに藤原拓海の、秋名のハチロクの不敗神話が始まる。

夜な夜な群馬や栃木、関東の峠道で繰り広げられる「峠バトル」、これがこの漫画の基本のお話になっています。高校3年生でありながら、並み居る峠の主や、はたまたレーサーをも打ち負かしていく。彼のドライビングテクニックは誰も想像したことのない、「型」のあるやり方でないけれども、車とは?ドライビングとは?という基本中の基本を押さえたからこそできる芸当になっている。車は連載当時ですら旧型となっていたAE86。峠道といった限られた空間ながら、2世代前の車で高校生が勝つ。これに読者は熱狂し、次はどんなクルマが負かされるのだ?と楽しみにしたものです。

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現在は走り屋チーム「プロジェクトD」のエースとなり、数多くの人との対戦や出会いと別れを繰り返す中で、着実に大人へとなっていく拓海の姿が描かれています。

この漫画の魅力はなんなのか?改めて考えてみると、まずはリアリティあふれる描写でないでしょうか?車は1台1台、動きも違えば、出す音も違う。それを漫画という2次元の世界で、音すらも表現するのか?難しいところですが、このマンガは臨場感どころか、とてつもなく速く走っている車が目の前を過ぎていく瞬間を見事に切り取った表現をしていて、マンガの1コマですべてが語られています。擬音一つとっても、表現しているエンジン音、タイヤの悲鳴などがその車のものだというのが伝わってきますし、特徴をよく捉えています。

次に多過ぎる好敵手の存在。44巻ともなれば戦ったことのあるライバルは多数にのぼります。そのどれもが、「強すぎるぞ、拓海よ今回は負けるのでは?」と思ってしまうほどの存在感と力量です。しかもそれらに強力な車が加味されてしまう。しかし、しかし、拓海はやっつけてします。その存在が、時には仲間となり、彼を形作っていきます。

最後にやはり彼の愛車AE86を抜きにして語れないのではないでしょうか?1983年に発売されたこのAE86スプリンタートレノ/レビンは、走りを重視した後輪駆動モデルで、当時の若者にとって自分たちでも買えるスポーツカーだったのです。走りの楽しさ、改造することでより走りのフィーリングが得られる作り。当時のレース界も「ハチロク」が席巻していたのでした。そこに来てのこの頭文字Dの連載。瞬く間に中古市場から「ハチロク」が消えてしまいました。

この連載が始まった90年代後半、その後アニメ化、映画化される2000年台。スポーツカー、走りを楽しむ車にとっては「真冬の時代」が訪れていました。そういったスポーツカーなどが淘汰され、作中に登場する車も殆どが新型車を作られることなく、「廃盤」になっていきました。

そんな中、今年2012年にトヨタから新しいスポーツカー、走りを楽しみ、低価格で買える車、
その名も「ハチロク」。
現代にまた蘇ったハチロクは次はどんな音や皆のワクワクを作り出してくれるのか、本当に楽しみですね。このマンガが与えた影響は、1台の車を作るというところにまで行ってしまいました。ハチロクの戦いはまだまだ終わりませんね。

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by manga_do | 2012-05-06 00:00 | 日曜マンガ博物館 | Comments(0)
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