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アメ村マンガ研究所

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日曜マンガ博物館(3)座敷女

日曜マンガ博物館
第3回



<はじめに>
毎週日曜日は、マンガの新作レビューでなく、古今の名作や伝説の漫画家、ずっと語り継いでいきたいマンガにまつわる話など、アーカイブ的なコーナーを開設することにしました。その名も「日曜マンガ博物館」。
その第3回目は・・


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座敷女

(望月峯太郎・講談社・1993年に1巻目刊行)


<あらすじ>
大学生の森ひろしの隣の部屋を執拗にノックし、「隣人」山本君を呼び続けるロングヘアの大女がいた。親切心から自分の部屋から電話をかけさせてあげるのだが・・。それが悪夢の始まりだった。次の日から自分の部屋をノックし続け、名前を呼び続ける。この女の目的は?そもそも誰なんだ?森ひろしにとって毎日が悪夢に変わっていく。

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「バタアシ金魚」で青春グラフィティーを描いた望月峯太郎が、「ホラー」を描いた意欲作。連載は11話で終了し、コミックスも1巻だけという内容だった。今思えばそれがよかったのかもしれない。構成やお話の強弱等極めて映画的であり、2時間映画を観ている錯覚に陥るほどのテンポの良さとお話の盛り上げ方だ。

1993年はバブル後の停滞感がある雰囲気というよりも、趣向の多様性、ライフスタイルの個人化など、現在の2012年とも十分通じるところがあった時代だ。インターネットの普及という点では、まだまだではあったが、特に都市部での情報の氾濫は「ネット」時代の前では頂点に達していたといえよう。

作中に出てくる大女、今で言えば「ストーカー」という言葉で片付けられ、あまりしつこいなら警察沙汰になるようなことだが、当時はストーカーという言葉自体あまり普及しておらず、しつこくつきまとう、といったぐらいではないでしょうか。そして、怖いお話が怪談だったり、お化けだったり、民俗学的なところの怖さがあったのですが、「都市伝説」これらが実態めいたものを持ち出したのもこの時期です。

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ストーカーと都市伝説、これらを巧みに織り交ぜながら、それまで感じたことのない恐怖、自分の身近なところの恐怖といった新たな形の「怪談」が出始めたのもこの頃です。

この本を読み終わった時に、えもいわれぬ恐怖を感じるのは、恐怖の対象がお化けではなく、人間というところにシフトしていき、この怖さこそ最上の恐怖だったと実感したのも90年代でしたね。

この作品のあと、望月峯太郎は「鮫肌男と桃尻女」「ドラゴンヘッド」といったヒット作品を世に送り出します。そして、その作品の根底にあるのは「人間」というところ。そう言う意味でもこの「座敷女」の生み出したものは1巻だけとはいえ大きかったのではないでしょうか。

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by manga_do | 2012-04-01 00:00 | 日曜マンガ博物館 | Comments(0)
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