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アメ村マンガ研究所

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グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ

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グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ
MARKETING LESSONS FROM THE GRATEFUL DEAD

(デイビッド・ミーアマン・スコット、ブライアン・ハリガン、日経BP、1,785円)


<あらすじ>
「これでよかったのだ。」
糸井重里(ほぼ日刊イトイ新聞)

ビートルズよりストーンズより儲けてしまったバンドの秘密。
それはフリーでシェアでラヴ&ピースな、21世紀のビジネスモデル。

オバマ大統領から、スティーブ・ジョブズまで、
米国トップは皆グレイトフル・デッドから学んでいた!


グレイトフル・デッドは1965年結成のアメリカのロックバンドで、1995年リーダーのジェリー・ガルシアが死去してバンドが活動停止して解散するまで、なんと2300回(年平均76回)ものコンサートを行い、スタジオで録音された「アルバム」を世に出すよりも、コンサートで直接ファンに音を聞いてもらうことを選んだバンドです。

そのステージでの「即興音楽」を旨としているため、様々な彼らでしかやりえない、成しえないことを数々行っています。「同じ曲を3年演奏しないとモノにできない」という信条から、一つの曲を長く愛し、各コンサートでその時でしか出しえない音を追求していった彼ら、その時々で音が産み出され、変化していった結果、1ステージが8時間に及ぶこともあったそうです。

次に彼らはコンサートに来てくれる「ファン」をとてつもなく大事にしたということ。その熱い姿勢に感銘を受けた熱狂的なファンはいつしか「デッド・ヘッズ」と呼ばれ、その中には、ビル・クリントン、アル・ゴア、スティーブ・ジョブズ、キース・ヘリング、ウーピー・ゴールドバーグなど各界の著名人も自らを「デッド・ヘッズ」であると言ってはばからない。そして、グレイトフル・デッドは彼らの期待に応える為に、自分たちのコンサートを録音することを認め、わざわざその録音する場所を会場の1番良いところに設置し、そのテープを営利目的でなければ、ファン同士で交換することも認めた。会場にはプロ顔負けの機材が所狭しと並び、そのため現在も彼らの「音」を録ったテープは良質で、その本数は2300回のうち2200回分に上る。

そして、チケットの購入方法もユニークで、良い席(最前列など)が欲しければ自分たちに電話してくることを求めた。購入方法や支払い方法など煩雑な面もあったが、それだけファンであるということに対しての彼らの感謝のしるしだった。熱心なファンが最前列で、そうでもないファンはチケット業者から買ってその後ろで聴く。当たり前と言えば当たり前だが、ファンはそれによってさらなる「忠誠」を誓う。

ネットがない時代、それほどのネットワークを確立し、大きな成功を遂げた彼らの成功の秘訣は「口コミ」と「ファンへの愛」だった。

ファンクラブを作るときに、ファンの情報のデータベースを誰よりも早く作り、それを元に会報を作り、誰よりも早くファンにコンサートの情報を伝えた。その情報が更に特別感をあおり、他のファンを増殖させていく。今、ネットやSNSで行われていることを、40年も前に成功させていたというから驚きだ。

現在「フリー」が叫ばれ、ビジネスやエンターテインメントの世界で大きな潮流をなしている。しかし、その向こうにはお金を払うことによって得られる「アップグレード」という選択肢が待っている。フリーで気に入ったものを、さらに良いものを求める為にお金を払う。グレイトフル・デッドが当時行っていた手法そのものである。

彼らがやっていたことを「なぞれば」、良いビジネスモデルを実感することはできるだろう。そういう意味でもこの本は良質のビジネス書、指南書と言っていいと思います。しかし、私がこの本を読んで感じたのは、彼らのしたいことの必然としての彼らの行動が素晴らしく感じるだけであって、昨今言われる「ビジネスモデルの確立」という商活動の一環ではここまでなしえなかったということです。自分たちの好きな音楽をステージで行うためにバンドのスタイルを確立し、もっとファンに聞いてもらうために録音することを認め、熱心なファンのために最前列で聴いてもらうシステムを作った。それだけに過ぎません。営利的な側面も大いにあったでしょうが、今現在も熱狂的なファンに愛され続ける彼らの音楽、スタイル、彼ら自身はこれからも語り継がれて、伝説になっていくのだと思います。

彼らの音楽に触れることもできたし、彼らの素敵なストーリーを忘れることができなくなった。この本はそんな本です。


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故ジェリー・ガルシア
by manga_do | 2012-01-05 00:00 | 本はホント不思議さ~ | Comments(0)
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