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アメ村マンガ研究所

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キートンは今日も忙しい

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MASTERキートン完全版

(浦沢直樹・勝鹿北星・小学館・1,300円)


<あらすじ>
危険な保険調査員にして、考古学者、そして特殊部隊SASの退役曹長。色々な顔を持つ、平賀=キートン・太一。今回の巻は、かなりの大忙し。誘拐事件の交渉人をやったかと思うと、軍用犬に追いかけられたり、IRAの爆弾処理に挑んだり、八面六臂。

何回か一回に、いつもの1話完結でなく、2話、3話続けるお話が入っています。今回は「誘拐」の話が入っています。日本のテレビドラマなどでも有名な誘拐事件なのですが、欧州では少し趣が異なります。

基本的に犯人の動機は怨恨などでなく、「ビジネス」ととらえられていて、「金儲け」といった短絡的なものでミスをしたりせず、交渉も激高したり、感情的になったりせず、自分たちの要求額を引き出すためにあらゆる手を尽くす集団なのです。そこには、ハリウッド映画のような派手な撃ちあいもなく、要求額と実際家族などが払える金額を近づけ円滑に人質を解放してもらうといった「取引」が展開されわけです。そして誘拐された側にも必要になるのが「交渉人」、誘拐交渉人(キッドナップ・ネゴシェーター)です。

キートンは今回保険会社から派遣された交渉人として、犯人にあたる・・・のではなく、家族や警察に「助言」をするのです。あくまでも交渉人はオブザーバーとして、自分の知識や経験をもとに、交渉をサポートするのです。テレビ、映画の世界とはこの辺が決定的に違います。彼ら交渉人は、交渉の流儀や身代金の相場、交渉トークなどに長けていて、犯人の上前をはねようとせず、あくまでも「人質解放、無傷で」という完全なるゴールを目指すわけです。

マスターキートンを読んでいて、ド派手な立ち回りやアクションがたまに出てきますが、それ以上に見入ってしまうのが、人を安心させるというか、安堵させるキートンの言葉や冷静な判断力です。今回の誘拐事件でも、誘拐された家族に対しての本当に安心させる言葉や何とかなるのではと思わせる安堵感がにじみ出ています。このマンガの真骨頂なのではないでしょうか。

誘拐という、卑劣な行為に対して、人はかなり無力になってしまいます。そんな時に冷静な判断を下せる、知識と経験、そして温かさが解決の第一歩なのではないでしょうかね。本当にこのマンガおすすめです。
by manga_do | 2011-10-03 09:55 | マンガ紹介 | Comments(0)
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