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アメ村マンガ研究所

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海と星野之宣

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THE SEA of FALLEN BEASTS
(滅びし獣たちの海)

(星野之宣・小学館・1,500円)


1996年にスコラから発売されていた、星野之宣の短編集です。今回の再版にあたり、SF短編「環礁にて」を単行本初収録して、全6編の星野SFワールドが展開されています。

原子力潜水艦、捕鯨船、海洋調査船、不沈戦艦、古代都市、宇宙。「海」を中心とした題材に、星野之宣の緻密で大胆な構想力が6冊の本を読んだような(本当にそう思えてしまいます、読後は疲れる)、個別の世界にいざなってくれています。

「宗像教授」シリーズで見せた、伝奇的な語り口や連載当時はまだ現実世界だった、「冷戦」といったところも、今の星野ワールドとは一味も二味も違う楽しみを見せてくれています。

今、1989年に終結した「冷戦」をもう一度見直してみたり、あの時代は何だったのか、世俗風俗に与えた影響は何だったのかを検証されていることがよくあります。終結(変な表現ですが)から22年。今の「安穏とした不安定な混沌世界」ではなく、「2極化された人類消滅危機世界」。どちらがどうということはありませんが、今も当時も、人間は強く生きて、人々は自分、家族、大切な人の幸せを願う世界が続いています。しかし、今と当時との比較で、皆の頭にもたげていたのは、「冷戦」のときは明日死ぬかもしれない恐怖。現代はこの先どうなるかわからない不安。どちらも、生きていくうえでの行動の枕詞みたいなものになっていたと思います。

この作品には冷戦時を直接描いた作品が2編収録されています。あの頃がどんなものか、直接的に知らない世代も増えてきました。昨日の「MASTERキートン」共々、描かれていた時期の直接的な息吹みたいなものを感じるのもいいかもしれませんね。
by manga_do | 2011-08-31 13:42 | マンガ紹介 | Comments(0)
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