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アメ村マンガ研究所

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キートンの帰還

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マスターキートン完全版
①②(同時発売)(全12巻順次刊行)
(浦沢直樹・勝鹿北星・長崎尚志・小学館・各1,300円)


<あらすじ>
平賀・キートン・太一は日本と英国のハーフであり、ある時は大学の考古学の講師、ある時は保険の調査員(かなり高額の案件)、それでいて元SAS(イギリス陸軍特殊部隊)所属。高校生の娘(猪熊柔じゃないよ、似てるけど)を持つ「パパ」ながら、今日も危険な「保険」や「探偵業」の依頼を受ける、まだ見ぬ壮大な遺跡を発掘する自分の夢を目指しながら。

長らく版権問題で再版されず、半ば幻の作品になっていたものが、どういった経緯か再版され、完全版として甦ることになりました。ゴホン。

うれし~い!!

そう言ってみなさん叫びますよね、叫ぶよね。こんなテンションあがる日もないのではと思えてしまいます。だって、もう2度と読むことができないのかと思うと、本当に悲しかったんですもの。いやはや、本当にうれしい。さらに、連載当時のカラーも掲載されていて、完全版の面目躍如ですね。

連載当時は1980年代末の冷戦終結直前から冷戦終結後すぐという、歴史の転換点だったわけで、本当に色々なことがあって、色々なルールが変わろうとしていた時代でした。冷戦をいち早く抜け出すもの、冷戦の呪縛から抜けられないもの、国、民族、イデオロギー、思想。今の2011年に巻き起こる今も引きずる諸問題に対しての「始まり」だったと思います。刻々と変わる世界情勢、感情などを克明に記録した歴史書という観点もあると思います、この本は。

当時は良くても、今はダメだったり、その逆だったり。20年の月日は残酷にも「マスターキートン」の世界をただ引き延ばしただけの世界になっているのかもしれません、何も変わっていない、悪化しているという点で。

キートンのキャラクターは、そんな殺伐とした時代にあっても、冷静な機転、持ち前のユーモア、秘めたる熱い思いなど、視点は違いますが、ハードボイルドな世界だったと思います。時代の傍観者であり、それを駆け抜ける力と知恵を持ち、愛を多く持ったキャラクターです。連載終了から今年で17年。このキャラクターとお話が甦るというか、帰ってきたこと自体は全体に特に何ももたらさないかもしれません。しかし、「格好いいということはこういうことだ」の世界をこの2011年にまた見せてくれるのは本当に漫画界の至宝の名にふさわしいですね。

いやらしい話ですが、このマスターキートンを読んで、国際情勢、テロリズム、考古学、軍事的知識などを身につけたという人は多いはずです。私もその端くれだったわけで。色々な人に自慢したりもしましたね。「なあなあ知ってる?」てな感じで。でも、何か所か、あとで調べたら間違ってたよんていうところがあったんですけど・・。訂正されてるんかな?まあ、あくまでも創作ですけんね。またまたいやらしい話ですけど、その辺の間違い探しもゆっくりしてみますかね、へへへへへ~。

とにかくお帰りなさい、キートン。ああ、幸せ。
by manga_do | 2011-08-30 09:07 | 22世紀に残したいマンガ | Comments(0)
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