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アメ村マンガ研究所

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夏こそ「カキーン!」

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砂の栄冠

(ヤングマガジン連載中)
(三田紀房・講談社・580円)


夏と言えば、高校野球。アルプススタンド、応援団、黄色い声援、カチ割り。応援席の側ばかりですが・・。やっぱり高校球児に夏ですよね。そんな高校野球の清いところ、濁っているところ、無限の可能性、大人のエゴなど、夏の風物詩の表と裏を克明に描いた問題作(ある意味)、砂の栄冠が発売されました。もう、5巻目なのですね。

春のセンバツに向けて戦いだした、エース七嶋君率いる樫野高校は、秋季大会1回戦でいきなり、県内の強豪東横浜高と対戦することになる。自分たちの弱点である守備の弱さを短期間で補うために、なんと300万円で伝説のノックマンを雇い、猛練習に励む。相手校の弱点を調べ、自分たちの「ダメなところ」を次第に克服していこうとする。そして、1回戦を迎える。

ほとばしる汗、悔し涙の終了のサイレン、あふれる若さ。高校野球に抱くイメージは、今もおおむねこういうものではないでしょうか。しかし、プロ野球がそうであるように、時代とともにスポーツは近代化され、勝負事が故のばかしあいや「適切な」練習法が確立されていきます。そして高校野球も例外ではありません。一部の強豪校のみが、多額の予算や人員をかけ、有望な中学生をスカウトしたり、囲い込んだりして、高校野球に勝利しやすい仕組みに高校生を乗せようとしています。それを是として、もっともっと高みを目指す学生はいますが、時折報道される不祥事や野球人口の減少は、それらの逆に反映した鏡ではとも思います。

どんなことをしても甲子園に出場しなくてはいけないという、学校やOBや親御さんの事情もありますが、公立高校や少ない部員などで甲子園出場を果たしたというニュースが取り上げられること自体、「高校野球は誰のものか?」という問いかけをしているように思えてなりません。

この「砂の栄冠」は細かな配球の戦術から、大人の事情、球児たちの葛藤など、「いまそこにある高校野球」を克明に描いています。青春の断面や一部分を漫画で見たいという方には重いかもしれませんが、それらをひっくるめて球児たちの突破していく様を、さも一緒に戦っているような気持ちになれる方には、毎巻発売されるのが本当に楽しみなマンガだと思います。

大人が色々考えて、色々なことをさせても、結局演じるのは球児たちであり、主役は高校生だということが読み取れるだけでも、スカッと、カキーン!と読めると思います。こりゃ、バッティングセンター行くかな。
by manga_do | 2011-08-05 13:25 | マンガ紹介 | Comments(0)
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