アイ アム ア ヒーロー
②(以下続刊、スピリッツ連載中)
(花沢健吾・小学館・560円)
<あらすじ>
漫画家のアシスタントをしている「元」漫画家の主人公鈴木英雄は、自分の漫画家として回りに認められないことに悶々としつつ、夜な夜な「妄想」ともいうべき他人格「矢島」と恋人(?)のてっこと過ごす毎日を送っていた。他の漫画家に心酔するてっこ、夜な夜な現れる「妖怪」を撃退するための散弾銃。そして、世間で起こる奇怪な事件。それらがひとつになるときに、英雄の前にとてつもない「災厄」が降りかかる。
ここまでが1巻のあらすじです。前半だけを読んでみたら、自分の漫画家としての道程に鬱屈しながら、恋人のてっこにキリキリしながら、夜な夜な妄想とも言うべき妖怪に悩まされているといいながら、ながらながらの青春群像劇に見えます。
特に作者の花沢健吾は、前作「ボーイズ・オン・ザ・ラン」でボクシングを題材にもてない男の冒険活劇(少なくとも私はそう見えました)を描いていただけに、今作もより鬱屈とした、より残念な男を描くのかと思いきや、1巻の後半あたりから、明らかに主人公以外の場所で起こる「奇怪」な現象や事件がテレビを通じて、これでもかというぐらい「伏線」として張り巡らされてくるのです。
1巻の最後もショッキングですが、2巻目に入ってそのショッキングさは絶望的な恐怖に変わります。ここまで1巻目と2巻目とでお話が変わるというか、転調する漫画を見たことがないです。将来、映画化などされることが極めて難しいのではと思ってしまうほどの怖さがそこにはあります。
これほどにまで続きが気になる漫画も本当に久しぶりです。よく映画的手法といいますが、のめり込み方も半端ではないですし、「この漫画どういう風に終わるんやろ」といった大きなお世話な心配など、考えることがいっぱい出てきます。今週のスピリッツは・・・って次の3巻目なんて待てませんよ本当に。